「うっひゃーすっげェ、びしょ濡れ。下着までびしょ濡れ。」 「当たり前だろう。こんな大雨の中傘もささずに帰ってくれば。」 長いみつあみから、ぽたぽたと水滴を滴らせるデュオに怪訝そうに眉を寄せると、ヒイロはデュオに向かってタオルを投げる。 それをさんきゅ。と受け取って、デュオはわしゃわしゃと頭を拭いた。 「シャワー浴びてくる。」 「さっさといってこい。」 「着替え持ってきてくれよ。もちろん下着も。」 「いいから行け。これ以上床を濡らすな。」 へいへい。とバスルームに向かうデュオ。 着替えを手にしたヒイロは、デュオの後を追うようにバスルームへと向かって…。 脱ぎ散らかされたびしょ濡れの服たちに、ため息をついた。 床が濡れると何度いわせるのだこの馬鹿は。 それを拾って洗濯機に投げ込むと、着替えを乾いたタオルの上に置く。 曇りガラスの向こう側。シャワーの音と、デュオの鼻歌が聞こえてきて。 「おい。」 「何?お前も一緒に入る?」 「ちゃんと温まらないと風邪を引くぞ。」 「色気の無いお返事をありがとう。」 「いいからちゃんと温まって来い。そしてちゃんと拭いて出て来い。」 「へーい。」 「………余計な心配だったな。」 「何が?」 声の響くバスルーム。 シャワーの音と、デュオの間の抜けた声。 「お前は絶対風邪を引かない。」 「なんで?」 「なんとかは風邪ひかないっていうからな。」 「………。」 「じゃあ、ここに置いて置くぞ。」 「………。」 返事の無いデュオに微かに笑うと、ヒイロは着替えを置いてそのまま脱衣所を去ろうとする。 その時、がちゃりとバスルームのドアが開いて…。 シャー!!! さっきまで曇りガラスに阻まれて、そんなにはっきりとした音で無かったシャワーの音が響いた。 というよりも、頭のてっぺんからくらった。 「ひゃっひゃっひゃっひゃ!」 「……どこまで阿呆なんだ……お前は。」 「うわー♪水も滴るいいオ・ト・コ♪」 「………。」 ぽたぽたと、ヒイロの髪の毛から滴り落ちる水滴が、床を濡らす。 わなわなと震えていたヒイロが、そんなヒイロに慌ててデュオが閉めようとした扉を掴む。 「うわっ!ヒイロっ、マジでごめっ…。」 あわあわと、シャワーを握り締めるデュオ。 そのシャワーが、やっぱり再びヒイロの服を濡らした。 それに慌ててシャワーの栓を閉めようとデュオが手を伸ばしたとき。 その手をヒイロが掴む。 「風邪を引いたらどうするんだ?俺はお前と違って、風邪を引く。」 ふっと不敵に笑ったヒイロに、デュオの顔も引きつる。 怒ってる。 これは絶対怒ってる。 「いーんじゃね?そんときゃ、風邪を引いていない俺様が、看病してやるからさ。」 「そうか。」 「そう。」 「覚悟しろよ?」 「え?」 シャー…。 あたりに響くシャワーの音。 濡れた服をバスルームで剥ぎ取るように脱ぎ捨てるヒイロ。 ひらきっぱなしのドア。 「覚悟って…。」 引きつるデュオの眼前に。 不敵に笑うヒイロの顔。 +++あとがき ギャグです。ギャーグー。 シリアス続きなのでここいらでギャグをば。 シャワールームと言うお題なのに、場所は何故かバスルーム(笑) 2005/10 天野まこと |