「ヒイロ君、何を見ているの?」 少し高い、女の子特有の声。 その声で呼ばれた名前に、ふっと耳を傾ける。 恐らくクラスの女子が、あいつに声をかけたのだろう。 次に聞こえてきたのは、カタン…と椅子が引かれる音。 あ〜やっぱな。 って思って、小さく笑った。 どうせあいつのことだから、こたえるわけねェだろうなぁ…って、思ったとおり。 あいつの声は聞こえない。 必要最低限のことしか話さない。 ひたひたと足音が聞こえるから、教室から出て行くつもりなのだろう。 それで、目立たないつもりかね? やっぱ自然と笑みがこぼれてくる。 窓の外には、どこまでも続く真っ青な空。 ぽかりぽかりと浮かんだ雲の流れるさまをただぼーっとみて…、ふっと…視線を感じて。 また、小さく口元は緩む。 バレバレなんだよ。 お前の視線は。 いつもいつも。 窓の向こうを見ているけれど。 そんなときに背中に感じる視線。 ヒイロの、鋭い、視線。 最初に言ったのはお前だろう? 『俺にかまうな。』 と。いつもように無表情で。 『俺とお前は無関係だ。』 いつものように抑揚のない声で。 だから俺は笑った。 笑った。 真実のない、偽りの学生生活。 ガンダムパイロットとしてではない、ただの学生としての日々。 それも楽しいけれどさ。 ちょっとはいつもと違う刺激がほしいだろ? 『はいはい。わっかりましたー。』 これはゲームだ。 俺が折れるか、お前が折れるか。 どっちが先に相手を求める? 痛いくらいに感じるお前の視線。 目は口ほどにものを言うってのは本当だな。 お前の名前を口にしなくなって1週間。 それは別に苦痛じゃねェけど。 お前の視線は正直、イタイ。 今まで俺を見もしなかったお前が、俺を見ているんだぜ? お前の方を見ない俺が気になって、俺の方ばかり見ているお前。 そんなお前の些細な視線や、足音を。 こんなに気にしている俺。 先に折れるのはどっちだ? +++あとがき ? 前回の続きらしいですけれども、やっぱりよくわからないんですけれども… 折角の11月12日。 更新しようと思ったのはいいけれど、どうなんですかね…コレ(苦笑) すいません。 本当、今回のお題あまり自分でも気に入ったのかけていません…(汗) 2004/11 天野まこと |