かんかんかん。 二人ですんでいるアパートの、歩くたびに靴の音が響く金属の階段を登る。 たまたま帰りが一緒になって、途中から一緒に帰ってきたのだけれども。 さっきからずっとヒイロは黙ったままで、なんだかつまらない。 前を歩くヒイロの背中をじっと見つめる。 見慣れた真っ黒いコートの背中に、ふっと…やつの頭を見た。 二人の身長差はあまりない。 あったとしても1センチか2センチ。 どっちが高いかもわからない。 たぶん俺だと思っているけれど。いや、思いたいのだけれども。 かんかんかん。 足音が響く。 「なぁ、ヒイロ。」 「なんだ?」 振り向きもせずにヒイロがこたえてくる。 なんだか寂しくて、くいっと…ヒイロのコートを引っ張ったらヒイロがゆったりと振り返った。 「どうした?」 俺を見下ろすヒイロ。 二人の身長差はあまりない。 ない―――けれども。 階段1段分。 俺よりも高いヒイロ。 上から見下ろされて、なんだか悔しかった。 見下ろされなれてるとはいえ、こんな時までってのはやっぱり悔しい感じがした。 悔しかったから。 ぐいっと。 ヒイロの首に巻かれたマフラーを軽く引っ張った。 引っ張ったらかたんっと。音が響いて。 ヒイロが一段。足を下に下ろす。 狭い狭い階段。 大の男が二人して同じ段に足を置いて。 「見下ろしてんなよ。」 そのままぐっとヒイロの頭を抱き寄せそのまま口付ける。 しっとりとしたヒイロの唇を、ゆったりと味わって。 離れ際ぺろりと舐めれば、ヒイロの開いた瞳に自分の勝ち誇ったような顔が映っていた。 こつんっとヒイロの額に自分の額を押し付けると、ヒイロのため息が鼻を掠めた。 +++あとがき イチニともニイチともとれる小説。 かっこいいデュオが書きたかったんですよ〜。 シチュエーションお題はただなんとなくつらつらと書いていきたいですね。 二人の日常を!! 2004/09 天野まこと |