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「初めましてからやりなおしたら、俺ら、友達になれたかもな。」 突然のデュオの言葉に、ヒイロは訝しげに振りかえる。 いつもデュオの言葉は突然だ。 脈絡がないからいつもその言葉の意味を理解するのに時間がかかる。 でも今回は言ってる意味がよくわからなくて。 ヒイロは素直に聞き返すことにした。 「意味がわからない。」 「だからー。俺らの出会いって最悪だったじゃんか。だからあんな出会いじゃなかったら、俺らの関係もかわってたかなってコト。」 にこっといつものようにデュオが笑う。 でもおそらく…彼の言葉は真面目なものだと…ヒイロは最近の付き合いで理解した彼の精神について感じたのだ。 デュオが言う冗談には2通りがある。 ただのばかな冗談と、本心を隠した冗談。 デュオは誰よりも他人との距離を気にする。 自分を拒否されるのが…恐いから。 笑って。 冗談を言って。 心を隠して。 今回の言葉も…おそらくは…。 「…何を弱気になってるんだ。」 「………別に弱気になんて…。」 「なってるだろう?何が不安だ?どんな返事が欲しいんだお前は。」 「返事は強制するもんじゃないと思うんだけど。」 ヒイロの言葉に、さっきのデュオの笑顔はどこへやら。 まるで怒られた子供みたいに、小さくなってるデュオにヒイロは溜息をついた。 「出会いは最悪だったか?」 「だって俺、お前に撃たれたし。」 「………。」 「目の前で自爆しようとされるし。」 「………随分と一方的だな。俺はお前に銃を向けられた。」 「俺は向けただけだぜ?」 そこまで言ってお互い溜息をつく。 ラチがあかない。 あの頃の話になるとお互いいつもこんな感じだ。 ヒイロは一歩デュオに近付くと、デュオの髪の毛をやんわりと手で掴む。 デュオは一瞬身を引いたが、そのままヒイロが掴んだ自分のみつあみを見詰める。 「あんな出会いでなきゃ、今ここでこうしていなかった…それが現実だ。それが不満か?」 「おまっ…は、いつも無表情のクセに、こんな時だけそうクサイセリフ吐くなよ!!」 ヒイロの言葉に、デュオの頬が一瞬で真っ赤に染まる。 耳まで真っ赤になって慌てるデュオに、ヒイロは楽しそうに唇の端を持ち上げて。 「一緒にいる奴がいつもクサイセリフを吐くからな。」 「俺がいつ吐いたよ!!」 「いつも――だ。」 くくっと笑って、ヒイロはデュオの髪の毛をくいっと引っ張る。 その痛みに僅かにデュオが眉を寄せて、ふらついた瞬間。 ヒイロはデュオの唇に、自分のソレをそっと押し当てる。 「だからお前はいつもそうやって不意打ちでっ…!!って言うか、ああもうっ!何になんて言っていいのかわかんね~~!!!」 今だにヒイロの唇の温もりが残る唇を手の甲でぐいっと拭って。 デュオは真っ赤な顔のまま叫ぶ。 突然のヒイロらしくないセリフと、不意打ちのキスで頭は混乱しているし。 わけがわからないまま、デュオはごしごしと唇を拭って。 「拭うな。失礼な奴だな。」 「うるせー!あーもー!!本当、出会いをやり直したいぜ!!」 「やり直したとしても、どうせこうして一緒にいるんだろうがな。」 ぱっとヒイロがデュオの髪の毛を放す。 突然自由になったみつあみは、宙を舞って重力にあらがいもせずに再びデュオの許へと戻って。 真っ赤になったまま口をぱくぱくさせるデュオに、ヒイロは唇の端を持ち上げて瞳を細めた。 +++あとがき 私が口をあんぐり開けたい気分の小説に…!! なんだか久しぶりに書いた小説は、とんでもないものに…二人の性格が変わってしまったみたいです。ちょっくらビデオ見かえしたりした方が良さげです。今まではデュオに振り回されるヒイロだったのに……どこをどう間違えたのか、ヒイロに振り回されるデュオ…!? あわわわ…初小説がコレとはいかに… 2003/09 天野まこと |