白と。 黒と。 灰色と。 モノクロの世界。 目の前に映る空の色はいつも灰色で。 流れた血の色はいつも黒くて。 風に揺れる木々の色も灰色。 水は白。 そんな、そんな。 俺をとりまく全ての世界がモノクロで。
「ヒイロ!こっちこいって!」 呼ばれて振り返る。 大きな大きなひまわりを両腕に抱えて。 にっこりと、お日様みたいな笑顔で、あいつがそこで笑ってた。 とたんに。 空は空の色に。 ヒマワリはヒマワリの色に。 あいつはあいつの色に。 世界が鮮やかに彩られて。 「すっげぇの!ひまわりがこんなに!!」 無邪気に笑うアイツに、瞳を細めた。 あいつの顔と同じくらい大きなヒマワリが、アイツには本当に良く似合って。 いつもいつもまっすぐに、太陽の方を向いているヒマワリは、あいつのようだと思った。 「大声をださなくても聞こえている。」 「じゃあはやくこいよ!」 からからと笑うデュオ。 額に浮かんだ汗を軽く腕で拭って。 麦藁帽子が風で飛びそうになるのをあいつが手で抑えるのが目に入った。 キラキラ、キラキラ輝く。 まわりの世界。 あいつを取り巻く、綺麗な色達。 「これやる。」 ずいっとさしだされたヒマワリを、1本受け取って。 そんな俺にあいつは再びにぱっと笑った。 「俺ヒマワリって大好きなんだ。」 「そうか。」 もらったヒマワリはアイツが抱えていた中で一番綺麗で大きかった。 「俺も好きだ。」 「そうか?」 へへっと嬉しそうに笑うデュオに、つられて顔が緩む。 モノクロだった世界が、こいつのおかげで色鮮やかになった。 こいつに出会って、俺は。 世界には色があると言うことを知った。 +++あとがき 前に違うカプでもこのネタ書いたな…(汗) 出会って、モノクロだった世界に色をつけてくれた人。っての。 ヒイロにとってデュオは眩しい存在。 でもデュオは逆に、ヒイロの方が汚れを知らない、純粋で素直な綺麗な存在だと思ってたり。 それがうちのデュオとヒイロ。 どっちも夢見てんのか!? ってかデュオの方がアレなだけか………前向きかと思えば、実際は違うと…!! アイター!! 2005/5 天野まこと |