+++ お題21:Cry for the moon. 




「コロニーじゃ、月がはっきり見え過ぎて、まるで墓場みたいだった。」

月をみるたびに、思い出すのは幼き頃の記憶。
墓をたてても、たてても。
いくらたてても。
足りなくて。
いつまでたっても終わらない。
墓を作る手はいつも重くて、いつもいつも謝ってた。
立派な墓も用意してやれなくてごめん。
なんで俺だけ、生き残ったんだろう。

「俺はいつまでこの月を見てられるかな。
あいつは月なんか見てないだろうけどな。
強がってばかりで…。」

思い出すのは月夜の晩に銃を向け合った少年。
鋭い瞳に、迷いはなかった。
ひきがねをひくそのタイミングを、逃さないようにするので俺は精一杯で。
あの鋭い瞳に睨みつけられた瞬間、心が震えた。

彼は自分と同じ匂いがした。

誰よりも近く、誰よりも理解できる。

そんな気がしたのだ。

それでも自分とは対極な位置にいるアイツ。
その理由がまた、痛いほどわかって。
それはたぶん、俺もアイツも同類だから。

「あいつも人生もっと楽しめばいいのに。生きていられるうちにな 。
どうしてるかな、あいつ…。」

月を見れば、思い出すのは幼い頃の記憶。
そして―――。
あの月夜の晩。

出会ってしまった。

鋭い光を瞳に宿した、漆黒の髪の少年―――。

彼のあの瞳を思い出す。







+++あとがき

月をみているデュオ。
本編でデュオがこのセリフを言った時、デュオったら!!!
ヒイロのこと思い出してるってか、忘れられない出会いだったのね!!!!
と叫ばずにはいられませんでした…。

萌え〜。


2005/5 天野まこと



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