「コロニーじゃ、月がはっきり見え過ぎて、まるで墓場みたいだった。」 月をみるたびに、思い出すのは幼き頃の記憶。 墓をたてても、たてても。 いくらたてても。 足りなくて。 いつまでたっても終わらない。 墓を作る手はいつも重くて、いつもいつも謝ってた。 立派な墓も用意してやれなくてごめん。 なんで俺だけ、生き残ったんだろう。 「俺はいつまでこの月を見てられるかな。 あいつは月なんか見てないだろうけどな。 強がってばかりで…。」 思い出すのは月夜の晩に銃を向け合った少年。 鋭い瞳に、迷いはなかった。 ひきがねをひくそのタイミングを、逃さないようにするので俺は精一杯で。 あの鋭い瞳に睨みつけられた瞬間、心が震えた。 彼は自分と同じ匂いがした。 誰よりも近く、誰よりも理解できる。 そんな気がしたのだ。 それでも自分とは対極な位置にいるアイツ。 その理由がまた、痛いほどわかって。 それはたぶん、俺もアイツも同類だから。 「あいつも人生もっと楽しめばいいのに。生きていられるうちにな 。 どうしてるかな、あいつ…。」 月を見れば、思い出すのは幼い頃の記憶。 そして―――。 あの月夜の晩。 出会ってしまった。 鋭い光を瞳に宿した、漆黒の髪の少年―――。 彼のあの瞳を思い出す。 +++あとがき 月をみているデュオ。 本編でデュオがこのセリフを言った時、デュオったら!!! ヒイロのこと思い出してるってか、忘れられない出会いだったのね!!!! と叫ばずにはいられませんでした…。 萌え〜。 2005/5 天野まこと |