+++ お題22:ふたり





「ヒイロと一緒に住むようになってどんくらいたったかな?」
「突然なんだ?」

ちらりちらりと粉雪が舞う。
その粉雪が舞い落ちる空を見上げながら、デュオは肩をすくめた。
白い吐息が、辺りの冷たい空気に溶け込む。

「特に深い意味はないけど。」
「あの日も雪だったな。」

首に巻いたマフラーに口許を埋めたデュオに、さらりとヒイロは言う。
なんだよ。ちゃんと覚えてるんじゃんかよ。と愚痴りながらデュオは、足元に積もり始めた雪に視線を移した。少し頬が熱い。

「ストーブどころかまともな暖房器具はなかったから寒かったよなぁ〜。」

にへらっと笑ったデュオの頬が紅くて、ヒイロは目許を緩める。

「でもお前は熱かった。」
「それは俺のセリフだってば。」

あったのは布団だけだったな。と笑うヒイロのてのひらに、自分のてのひらを滑り込ませて。
デュオは再びへへっと笑う。

「相変わらず冷たい手だな。ヒイロは。」
「お前は相変わらずこんな雪の中でさえもオコサマ体温だ。」
「うるせ。」

デュオの温もりで温まりはじめたヒイロのてのひら。
ぎゅっとデュオが握りしめると、ヒイロはそれをぐいっと引っ張る。


止まっていた二人の足が、再び歩きはじめて。


ぽつぽつと積もった雪の上に二人の足跡。


向かう先は二人の帰る場所。


あの頃とは違ってもう暖房器具もちゃんとあるけど、こんな日は二人の体温だけで温まる夜も良いのかもしれない。








+++あとがき

冬コミ原稿でおわれながら、どうしてもイチニデーに更新したくて
掲示板に書いた小説です。
甘い。
つうかなんつうかこの二人はどこまでニセモノになっていくのか(ひらきなおり)


2003/12 天野まこと



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