「ヒイロと一緒に住むようになってどんくらいたったかな?」 「突然なんだ?」 ちらりちらりと粉雪が舞う。 その粉雪が舞い落ちる空を見上げながら、デュオは肩をすくめた。 白い吐息が、辺りの冷たい空気に溶け込む。 「特に深い意味はないけど。」 「あの日も雪だったな。」 首に巻いたマフラーに口許を埋めたデュオに、さらりとヒイロは言う。 なんだよ。ちゃんと覚えてるんじゃんかよ。と愚痴りながらデュオは、足元に積もり始めた雪に視線を移した。少し頬が熱い。 「ストーブどころかまともな暖房器具はなかったから寒かったよなぁ〜。」 にへらっと笑ったデュオの頬が紅くて、ヒイロは目許を緩める。 「でもお前は熱かった。」 「それは俺のセリフだってば。」 あったのは布団だけだったな。と笑うヒイロのてのひらに、自分のてのひらを滑り込ませて。 デュオは再びへへっと笑う。 「相変わらず冷たい手だな。ヒイロは。」 「お前は相変わらずこんな雪の中でさえもオコサマ体温だ。」 「うるせ。」 デュオの温もりで温まりはじめたヒイロのてのひら。 ぎゅっとデュオが握りしめると、ヒイロはそれをぐいっと引っ張る。 止まっていた二人の足が、再び歩きはじめて。 ぽつぽつと積もった雪の上に二人の足跡。 向かう先は二人の帰る場所。 あの頃とは違ってもう暖房器具もちゃんとあるけど、こんな日は二人の体温だけで温まる夜も良いのかもしれない。 +++あとがき 冬コミ原稿でおわれながら、どうしてもイチニデーに更新したくて 掲示板に書いた小説です。 甘い。 つうかなんつうかこの二人はどこまでニセモノになっていくのか(ひらきなおり) 2003/12 天野まこと |