ぱふんっと、勢いよく身体が布団に埋もれる。 冷たいけれども柔らかなそのシーツの海に埋もれながら、デュオはばさりっと腕を煽ぐ。 「ちょっ…ヒイロ!待てって…!」 「待てない。」 するするとシャツの隙間からヒイロの冷たい指先が忍びこんでくる。 その刺激にぶるりと身体を震わせて、デュオはヒイロの肩に手を置く。 ぐいっと押してみても、ヒイロはびくりともしない。 それどころかデュオの頬に唇を寄せてきて…。 「まっ…ヒイロっ!!」 どくんっと、身体の奥で血液が波打つ。 じわりじわりとヒイロの指先が温かくなってきて、その温かみにデュオの頬も熱く染まる。 「ヒ……!」 びくんっとデュオの身体が跳ねて。 ヒイロの柔らかな唇が、デュオの騒ぐ唇を鋏み込んで甘く口付ける。 熱い吐息が絡み合って、デュオはぎゅっと目を瞑った。 ズルイ。 本気でデュオが抵抗してこないのを良いことに、いつもヒイロは勝手にコトを進めて。 デュオはぐいっとヒイロの肩に置いた手に力を込めた。 ズルイ。 そう思っても、やっぱり心のどこかで許してる。 「ヒイロ………。」 ヒイロの真剣な瞳に、とろんとした目の自分が映っている。 それにデュオは更に頬を紅く染めた。 息が乱れるのは、突然の口付けで呼吸を奪われたからじゃない。 身体が―――心が淫らに揺れてるから。 「ひ……。」 ヒイロの首筋に、デュオは自分の指先を滑らせる。 そして――――――。 トゥルルル………。 ぴくんっと、デュオの身体が跳ねた。 ベット脇のサイドテーブル。 その上に無造作に置かれた2つの携帯電話。 そのヒトツが鳴っていた。 「おい、ヒイロ。鳴ってるぞ?」 「ああ………。」 デュオの言葉にヒイロは手を休めようとはしない。 デュオのシャツのボタンを器用に片手で外しながら、現れた健康的な肌にもう一方の掌を滑らせる。 その刺激にデュオは身体を震わせながらも、今だにサイドテーブルの上で鳴り続ける携帯電話をじっと見つめた。 「でも…仕事のことじゃないのか?おい。いいの…かよ…?」 ヒイロに話しかける声が、甘く鼻にかかった声になってきて。 それがどこか気恥ずかしい。 トゥルルル………。 「放っておけばいい。」 「でもっ…ヒイロっ…ン…。」 「今はお前の声しか聞こえない。」 とくんっと…左胸の奥が音を立てて。 デュオの頬が一瞬でリンゴみたいに真っ赤に染まる。 そんなデュオにヒイロは唇の端を持ち上げて。 「ひいろっ……!!」 デュオの首許にヒイロが顔を埋める。 熱い吐息が首筋を霞めて、髪の毛が頬を擽って。 噛みつかれる甘い疼き。 「ンっ……。」 くらくらと痺れてくる脳。 もう電話の音は聞こえない。 と―――その時。 プルルルル……。 カタカタと振動音と共に聞こえてくる………もう一方の携帯電話の着信音。 「あっ…!!」 デュオが慌てて伸ばした腕を、ヒイロは掴む。 細いその手首を掴んで、ヒイロは引き寄せる。 「ヒイロっ!放せってば。」 「放っておけ。」 「ヤバイって……!」 必死に手を振り解こうとするデュオの腕を、ヒイロは掴んで離さない。 引き寄せたその腕を自分の口許に寄せると、ぎゅっと握られた拳に唇を近付ける。 「ヒイロ〜〜マジで勘弁してくれよ。」 プルルルル……。 すぐそこで聞こえてくる着信音。 デュオは心底困ったように苦笑する。 ヒイロは軽く溜息をつくと、デュオの頬に唇を寄せた。 そしてデュオの柔らかな耳朶を、そっと唇で甘噛みして。 「今くらい俺の声だけを聞いていろ。」 ぞくりっとデュオの身体が粟立つ。 この上無く色っぽい声で囁かれた言葉。 「ヒイロっ……!!」 まるで身体全体が性感帯になってしまったみたいな状態で。 ヒイロの声で。吐息で。指先で。視線で……。 身体中が熱く火照る。 「デュオ………。」 気がついたらヒイロの甘く囁く声しか、もう――――耳に届かなかった。 +++あとがき 微エロ。好きだなァ〜。 えっち中のやりとりってv ってかヒイロさんってば強引なんだから!! この電話をかけてきた相手はもちろん(笑)カトル。 ヒイロにかけてみてもでないから、おかしいなぁ〜?? ってデュオにかけてみたのでした(笑) たぶん朝っぱらです。 朝っぱらからヒイロさんてばデュオに欲情…!! 2003/09 天野まこと |