「ヒイロ今日オフ?じゃあ、初詣行こうぜ?」 にっといつものように笑って、デュオがそんなことを言い出したのは、1月も既に下旬にさしかかる頃だった。 そんな時期にデュオがそんなことを言い出したため、ヒイロとしては何と言っていいのやら。 眉間に皺を寄せながら、デュオの言葉の意味を考えることにした。 あまり深くは考えていなそうなのだが。 確かに年明け初なので、初詣に変わりはないだろうが。 普段からお参りなんてしたことがない。 「………。」 「………嫌なのかよ?」 黙り込むヒイロに、むっと不機嫌そうにデュオが口を尖らせて。 そんなデュオの腕を、ヒイロは掴んだ。 「嫌ではないが…何故今更?と思っただけだ。もう一月も終わる。」 「今更でも何でも、俺はこーゆーのを大切にしたかったんだよ。」 なんでわかんないのかといいたそうなデュオの口調。 ヒイロは少し考えて、デュオの腕を掴む手に力を込める。 「わかんねぇ?別にお前以外の誰かと一緒に行っても良かったんだ。実際カトルにも『皆でどうですか?』って誘われたし。でも断った。なんでかわかるか?」 「………初めて聞いた。」 「そりゃ、カトルは俺とヒイロ一緒に誘ってくれたわけだから、俺が断ったときヒイロも一緒にお断りだと思ったんだろ?なんせ俺たちはこうして一緒に暮らしているわけだし。」 デュオのいいたいことが、少しわかってきた。 コイツは俺と一緒に、初詣に行きたいと。そういうのだ。 「こういう季節の折々のことっていうかさ、そういうの、一緒にしたいのはヒイロなんだよ。ただでさえ一緒にいられる時間がお前の仕事のせいで少ないんだし。」 「………。」 「お前はそういうの嫌いかも知んないけどっ…!!」 だんだんと恥ずかしくなってきたのか、デュオが俯いていく。 さっきまで自分の瞳を睨んでいたその瞳が、床を睨みつけるように変化するのを目の前で見て。 デュオの頬がだんだんと赤く染まる。 「なんか言えって。」 少しだけ小さくなった声。 デュオの腕を掴む手を、引き寄せて。 促されるまま自分の胸に倒れこんできたデュオの身体を、そのまま抱きとめた。 「嫌いじゃない。」 「なんか俺ばっかりお前と一緒に過ごしたいみたいじゃねーか。」 「確かに俺は年明け、今日が始めてのオフだ。」 「お前忙しすぎなんだよ。」 「仕方がない。リリーナはそれ以上に忙しいわけだし。」 「わかってる。」 恥ずかしいのか顔を見せないデュオに、僅かに唇の端が持ち上がった。 「寂しい思いをさせたか。」 「っておまっ…!!!!」 耳元で囁けば、さっきまでは頬だけだった朱が耳まで浸透して。 真っ赤になって顔を上げたデュオの唇に、そのまま自分のソレを押し当てた。 年明け最初のキスだと、頭のどこかで思って。 久しぶりに触れたデュオの唇は、どこか懐かしい感触がして。 「すまなかった。」 「………キャラ違うから。」 「そうか?」 「お前結婚してから変わった。」 「お前が変えた。」 大きなデュオの瞳が、更に大きく見開いて。 何か言いたげなデュオの頬に軽く口付けて、その柔らかな手を掴む。 「行くぞ。」 「どこに?」 「お前が誘ったんだろう?」 「あ、待って。俺、手袋とマフラー持ってくる。」 「暖かくしていけ。ただでさえ、お前寒がりなんだから。」 「今日は人間カイロがいるから平気ー。」 「………。」 あとがき 年明け初イチニはキャラの変わってしまったお二人からです。 相変わらず…どころか、以前以上に偽者になってしまいました…。 今年は昨年以上にまったり更新になりそうです。 そんな当サイトですが、これからもよろしくお願いします。 2005/01/23 天野まこと |