「やっ…!ごっ、ごくでらくっ…!」 力任せに木の幹に身体を押し付けられて、綱吉はその痛みに眉を寄せた。 身体中の血液がどくんどくんと波打ち、目の前がチカチカしてくる。 呼吸も荒くなってしまっているのがわかった。 目の前が、くらくらする。 霞む視界の向こうで、獄寺が切なそうな顔をしているのが、本当に辛かった。 「十代目。」 咎めるように強い口調で、彼だけが呼ぶ名前で呼ばれる。 「ダメだっ!やだっ…やめっ…!」 抗おうとしても身体に力が入らない。 足もガクガクと震えて、たっていることすらすでに辛い。 「暴れないでください。」 「嫌だっ…!」 拒む唇を獄寺の唇が塞ぐ。 驚きすぎて、綱吉は瞳を見開いた。 初めて触れた唇のその柔らかさと暖かさ。 ほんの刹那の短いキスに、涙が溢れてくる。 「最初で…最後です。」 「嫌だ嫌だ嫌だ!!やめっ…!君を失うなんて嫌だっ…!」 頭の中が真っ白になる。混乱する。くらくらする。呼吸が苦しかった。胸も苦しかった。 優しい瞳が自分を見つめてきている。その瞳に身体が金縛りにあってしまったみたいで。 燃えるように熱い腕に、獄寺の唇が寄せられるのが見えた。 「ごくでらくっ…!」 「未来永劫、あなただけを愛しています。」 身体に染み入るように聞こえてきた声に、身体が震えて心が震えて。 何かを言いかけて唇を大きく開いた綱吉の瞳が見開かれる。 「ごくでらくんっっっ………!!!」 熱を帯びたその腕に、獄寺の唇が吸い付くのが見えた―――――。 500年後――――――。 |