「あはははは。」
「わ、笑うなんてひどいですよ!オレ、本気ですよ!」
「うん。ごめん。わかってる。」
それでもくくくっと堪えきれないように笑う綱吉に、獄寺は軽く唇を尖らせた。
自分は本気だった。本当にいいアイデアだと思ったのだ。
なのにここまで笑わなくたっていいのに。そう思う。
でもくくくっと笑う綱吉の笑顔は、やっぱりとても素敵すぎて、獄寺はぱちぱちと瞬きを繰り返した。
「じゅうだいめェ…。」
「うん。そうだね。」
笑いすぎて目尻に浮かんだ涙を、綱吉の小さな指がついっと拭う。
そして綱吉は小さく笑うと、頬をかすかに赤く染めた。
その表情に、ときん。と小さく獄寺の胸が音を立てる。
「今の言葉、10年後にまた言ってよ。」
「10代目?」
「10年たって、かわらず君がオレの傍にいてくれてたら…また、言ってよ?」
「………はい!」
「待ってるから。」
小さく笑う綱吉の表情に、獄寺の顔もぱあっと明るくなる。
待ってるから。そういってくれた綱吉。
10年たっても、綱吉の気持ちは変わらないと暗に含んでくれているのだ。
それも嬉しかった。
「オレ、10年たったら絶対もう一回言います!」
「約束。」
小さく微笑む綱吉の左手を掴んで…そっと持ち上げる。
柔らかなその手を自分のてのひらでやんわりとなでて…そして唇を近づけた。
「はい。約束します。この指に。」
ちゅっと…小さく音を立てて、獄寺も笑った。
顔を上げれば、真っ赤に頬を染めた綱吉が、照れたように笑うのが見えた。
この笑顔を独り占めできるのならば、それだけで幸せなのだ。
自分は。




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