「十代目…舐めてください。」 低く強請るように言われて顔を上げれば、額に玉のような汗を浮かべて笑う獄寺君がいた。 色欲に揺れる瞳で、俺を見下ろす獄寺君。 俺を見下ろすことなんてめったに無いのに、こんな時だけそうやって俺を見てくる。 額に浮かんだ汗が辛そうに流れ落ちて、それは獄寺君の頬をたどり、顎からぽたりと滴り落ちた。 「じゅうだいめ。あなたにひどいことをしたくないんです。」 甘く舌ったらずな声で、俺の名前を呼ぶ。 卑怯だ。 そんな声を出されたら、そんなことを言われたら、俺は拒否できない。 こくりと唾を飲み込んだ後に、目の前に出されたソレにゆっくりと舌を絡めた。 ぴちゃり…くちゃり…。 唾液を含ませて舌を絡め、そのまま口に含めば口内でソレがぴくりと動く。 「んっ…。」 冷たかったソレが、俺の口内で暖かくなっていき。 そろりと上を見れば、耳まで顔を真っ赤に染めた獄寺君が、空いているほうの手で顔を覆っていて。 その表情にたまらなくどきどきする。 「ごくでら…くん。」 それから口を離せば、俺の口と君のソレに光る糸の橋ができる。 あまりにもねっとりと絡めすぎたと恥ずかしくなった瞬間、獄寺君はさっきまで俺がなめていたソレを自分の口元にもっていった。 「ごくでらく…。」 そしてそのままぺろりと。俺の唾液で濡れた指先を舐めて、まるで肉食獣みたいな瞳で笑う。 その瞳に、ぞくぞくと背中の毛が逆立った。 たまらない。こんなに色っぽい人を、自分は見たことが無い。 「これだけ濡れてれば、大丈夫ですよね?」 「ひゃっ…!」 そして伸ばされる腕。 俺の体内に忍び込む長い指。 「そんなに締め付けないで下さい。」 「やっ…そ、なことっ…ったって…!」 がくがくと脚が震えて、膝立ちすることも出来ない。 さっきまで舐めてたあの綺麗で細長い指が、自分の身体の中で獄寺君以外に触れられたことの無い場所に入り込んできている。 しかもさっきからくちゅくちゅと卑猥な音が響いている。 それだけでも羞恥で耐えられなかった。 「じゅうだいめ。」 「んっ…あっ…!」 一人で自分の身体を支えることが辛くなってきて、そのまま獄寺君にしがみつく。 耳元で甘く優しくささやかれて、それだけで身体中の血液が波打った。 「柔らかいっス。やっぱり昨夜も散々広げたからですかね?」 「ばっ…ァっ…!」 いやいやと顔を振りながらしがみつけば、嗅ぎ慣れたタバコの香りと汗の匂い。 「十代目。いれてもいいです?」 がくがくと震える膝。 ぞくぞくと粟立つ背中。 頭の中は真っ白で。 しがみつくままただただ頷くことしか出来なかった。 |