本誌より 10年後に飛ばされて怪我をしたツナの眠るベットサイドでの獄寺くんです。


うなされる十代目を見ながら唇を噛み締める。
3回目だ。
こうして十代目が傷つき、眠る姿を見るのは。
その度に胸が引き裂かれそうなくらいに辛い思いを味わう。
自分の力不足と不甲斐なさに、悔しくて悔しくてあたりかまわず何もかもを壊したい衝動に駆られるのに。
自分は何度、この気持ちを味わうのだろう。

両膝の上で握り締めた拳が震える。
力をこめて握るせいで、血管が浮き出ていた。
その拳を、まるで親の敵を見るみたいに睨み付けて。

「ううっ…。」
「じゅうだいめ…。」

額に玉のように浮かんだ汗を、濡れタオルで拭ってさしあげた。
ぎりぎりと噛み締めている歯が、辛そうだった。

「そんなに噛んだら…血が出ちまいます。」

「はぁ、はぁ…。」

苦しそうに歪められた眉。
拭いても拭いても湧き出る玉のような汗。

ふとんを握り締めている手にも、力が込められていて。
その手を、そっと握り締める。

「じゅうだいめ…。」

握り締めて、唇を寄せて、そっと口付けて。
ぎゅっと、ぎゅっと握り締められたから、ぎゅっとぎゅっと握り締め返した。

「大丈夫です。俺がついてます。俺がかえてみせます。あなたとすごす未来が、こんな辛いものであっていいはずが無い。」

ぎゅっと、ぎゅっと握り締めて、何度かちゅっちゅっと口付けて。
あいた方の手で、汗に濡れて額に張り付いた十代目の髪の毛を、そっと拭った。
現れた額にも唇を寄せれば、汗ばんでいるせいで唇がしっとりと張り付いた。
濡れた唇をぺろりと舐めれば、舌先にしょっぱい汗の味。

「目を覚ましたら、一緒に。」

ぎゅっと握り締められた手に、自分も力をこめて。
もう一度、その手に唇を落とした。


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