「あったかいねーきもちー。」
ふわふわした声でそう言う綱吉に、獄寺も釣られて微笑んだ。
確かに足湯に浸した足先は、じんじんとその熱によって解されていく。
気持ちがいいなぁ。と、思いながら、白かった足先が赤く染まるのをなんとなく眺めて。
湯に浸かっているところだけが赤くて、血行が良くなってる。
「はい。とても気持ちいいです!きてよかったですね。10代目。」
「うん!」
ちらりと横を見れば、綱吉の白い足先も赤く染まっているのが見えた。
白い足に、跳ねた水滴がすこしだけついてる。
こくりと、無意識のうちに喉がなった。
なんだか見てはいけないものを見てしまったような気がして、獄寺は慌てて綱吉の足から目を逸らす。
何度か瞬きを繰り返したけれど、脳裏に焼きついているのは、綱吉の赤く染まる足先だったり、つつーっと流れ落ちる水滴だ。
「あ、熱いですね。」
「そう?丁度よいと思うけど。」
どくん。どくん。足先ではなくて、身体が熱い。
なんだかやましい気持ちになってきて、獄寺は慌てて立ち上がった。
「ごくでらくん?」
「お、おれっ…なんか飲み物買ってきます!」
「えっ?」
「し、失礼します!」
「ごくでらくん!足、濡れてっ…!」
ぺたぺたぺたぺた。濡れた足のまま走り去った獄寺の背中を見送りながら、綱吉は小さく首をかしげた。




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