十代目を大切にしたいという気持ちとは別に、酷くしたいという気持ちが心の奥底にある。
それに気付いたとき、吐き気がした。
なんということだろう。
世界で1番大切で、世界で1番大好きな人なのだ。だが、同じく世界で1番特別な人なのも確かだ。
世界で1番特別な人の、世界で1番特別な人になりたい。

「十代目・・・もう指が三本も・・・根本ま
でくわえ込んで、そんな、きゅうきゅうに締め付けないでください。」

指先を曲げて、少し固い壁を指の腹で撫でれば、必死に声を押さえていた十代目が、濡れた瞳で俺を睨み付けてくる。
その瞳に背中をぞくぞくと震わせながら、俺は唇をぺろりと舐める。
ぞくぞくする、その感覚が快楽だ。
十代目が俺を睨むその瞳に欲情する。

「ご、ごく・・・れ、ら、くっ・・・ン!」
「なんですか?」

汗ばむ肩口にちゅっと音をたてて口付け、そねまま軽く歯を立てる。
ぴくぴくと身体を震わせる十代目の下の口からは、俺の指が出たり入ったりする音が、卑猥にくちゅくちゅと聞こえてきていた。

「最近イジワルっ・・・だっ・・・!」

ぞくぞくする。煽られる。たまらなく気持ちがいい。

「そんなこと、ないですよ?こうして、あなたが悦いとこは俺が全部知ってます。俺だけが、あなたにこの快楽を与えられるんです。」

「あああっ・・・!」

最奥までいれた指をぐるりとまわしたとたん、十代目のしなやかな身体が弓なりに跳ねる。
びくびくと跳ねた性器から飛び出た精液が、真っ白なシーツにポタポタと跳ねて。
俺はそれを指で掬うと、ゆったりと微笑んだ。
ぽろぽろ涙を零す十代目の、その涙を唇で拭って。

「十代目・・・綺麗です。」

なにかいいたげな十代目の唇を、自分のそれで塞ぐ。

「んんっ・・・!」

息苦しそうに眉をしかめるその表情もとても綺麗だ。
痛みも、快楽も、すべて俺が与えてさしあげます。
俺がそうなように、あなたも俺なしではいられなくなればいい。
人が空気のないとこで呼吸ができないように、魚が水のないとこでは生きられないように、あなたも俺のいない世界で生きられないようになればいい。

吐き気がする。

なんて歪んだ独占欲なんだろう。

特別な人の特別になりたい。

ただ、それだけなのに。



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