「じゅうだいめ、舌、出してください。」
「え?」
唇が離れた瞬間、言われた言葉。
キスに夢中になっていたから、思考回路が蕩けたままで、理解が出来なかった。
一瞬何を言われたのかわからなくて、マヌケな声で反応したら、獄寺くんが小さく笑ったのが見えた。
「舌、です。」
そしてぺろりと舌を見せてくる。
それにつられたようにぺろりと舌を出したら、その舌を獄寺くんの舌がぺろりと舐めてきた。
それにびびびっと背中が粟立つ。
「んんんっ…!」
舐められた舌先に感じた、柔らかな舌の感触。
いつもみたいに無我夢中に絡めあうわけでないそれは、獄寺くんの舌の柔らかさをダイレクトに伝えてきた。
おれの舌をまさぐるように力の込められた舌ではない。
力の抜けた柔らかな舌。
それに自分の舌先が触れる。
それだけなのに、それは舌の上でとろけるような極上の甘い感触で。
一気に腰から力が抜けて、がくりと俺の身体が崩れ落ちたところを、獄寺くんの力強い腕が支えてくれた。
「じゅ、らい、め…?」
「ごくれ、ら、くっ…。」
足がガクガクする。たっていられなくて、ぎゅっとぎゅっと獄寺くんの服を掴んだ。
ぺろぺろと舐めてくる舌が柔らかくて暖かい。
気持ちがいい。気持ちがいいって、こういうことを言うんだ。
たまらなく気持ちがいい世界で、頭も体もとろとろに溶けてしまって。
だめだ。たってられない。
がくんっと力の抜けた俺の体を、獄寺くんはゆっくりとソファベットに横たえてくれた。
「じゅうだいめ、舌…。」
そして再び促される。また、あの感触を舌先に感じれるのだ。
そう思ったら自然と身体が熱くなった。
舌先を伸ばして、それに獄寺くんの舌先が触れてきて。
そしてジュルリと吸われて、甘く甘く噛まれて。
ぞくぞくする。びりびりする。
なんだこれ。これはキスなのか、違うのか、よくわからないけれど。
甘くて柔らかくて、そしてちょっぴり苦くて。
「ごく、れら、くんっ…!」
もうとめられるわけがなかった。
気持ちがいい。欲しい。欲しい。欲しくて欲しくてたまらない。
触れて欲しい。熱い身体に、触れて欲しくて、もっと刺激が欲しくて、腰が自然と動いてしまう。
ぎゅっとぎゅっと獄寺くんの首筋に抱きついて、ぎゅっとぎゅっと瞳を閉じる。
「ちょうだいっ…。」
彼だけが与えてくれる甘い痺れが欲しい。
焦らさないで欲しい。
欲しくて欲しくてたまらない。
「じゅうだいめっ…。」
荒く乱れた呼吸が首筋にかかる。
抱きついた体が熱い。首筋にかかると息が熱い。
熱い。熱い。熱くて熱くて、呼吸が苦しい。
乱れた服の裾から指先を忍び込ませて、そのまま汗ばむ背中に抱きついた。






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