□キマー



「獄寺くんさーキスマークってどうやってるけるのか知ってる?」
「ぶほっ!」
「だ、大丈夫?」
「だ、大丈夫っス!どうしたんですか急に!」
「いや、だってさー…普通にキスしたってつかないし、ちょっと吸ったくらいじゃつかないじゃん?」
自分の腕に唇を押し当てて、何度かキスマークをつけようとチャレンジする綱吉。
かかーっと獄寺の頬が紅く染まって、その腕に目が釘付けで。
「おそれながら俺でよければお付しますが。」
「できんの?」
「…たぶん…ですけど。」
「へェ〜!流石物知りだねー獄寺くんは!じゃあ、やって!」
腕をひょいっと獄寺に差し出す綱吉。
健康的な肌の内側にある、白い肌をちらりとみて、獄寺はコクリと唾を飲み込んだ。
「皮膚が薄いところほどつけやすいと思うので…あの、失礼します。」
「ん?」
ぺこりと小さく頭を下げた獄寺に、綱吉が頭にはてなマークを浮かべる。
そして何が?と聞こうとした綱吉の唇が薄く開いた直後、ひゅっと息を呑む。
目の前に獄寺の顔が近付いてきて、驚いた綱吉はぎゅっと瞳を閉じた。
「っ…!」
びくんっと綱吉の肩が跳ねる。
突然獄寺の顔が近付いてきたと思ったら、少しはだけたシャツの合間に唇が押し当てられて、そしてうわわと思った瞬間にちりりっと鎖骨の辺りに熱が走ったのだ。
「ごくっ…。」
「………つきました。」
ばくんばくんと煩い心臓の音に、綱吉が呼吸を乱す。
鎖骨をそっと指で撫でた獄寺が、瞳を細めて笑った。
「ここに。」
「………え………?」
「10代目は肌がお綺麗ですから、紅くはえますね。綺麗です。」
「…ちょ…ここじゃ俺にはみえないじゃん!てゆか、どうやってつけたのさっ!?」
言われた言葉に照れ隠しで綱吉は声を荒げた。
ばくんばくんと心臓は煩いし、まともに獄寺の顔を見ることも出来ない。
「じゃあ…10代目もつけてみればいいんですよ。どうぞ?」
「ぅえっ!?」
すいっと…獄寺は自分の小指で自分の胸元をひっぱった。
真っ白く透き通るような獄寺の肌が、ちらりと見える面積を広げられる。
血管すら浮かぶようなその白さに、綱吉は目の前がチカチカした。
こんなに誰かを色っぽいと感じたのははじめてだ。
「む、無理だって!」
「できますよ。俺、つけて欲しいです。10代目に、あなたのものだって、印を。」
「ええええええっっっ…!?!?」
あわあわと慌てる綱吉に小さく笑って、獄寺はオロオロし始めた綱吉の肩をぐいと抱き寄せた。
「今が無理なら夜でも。」
「ご、ごくでらくんっ!」
「あなたが嫌がると思って今までつけてませんでしたけど、いいならいくらでもつけますよ。つけたくてつけたくて仕方なかったんです。他の誰が見ても、俺のモノだってわかるように。」
「獄寺くんっ…!」
真っ赤な綱吉が抵抗をするのを小さく笑って抱きしめかえす。
「誰にもわたさねー…。」
耳元でぼそりと呟かれた言葉に、綱吉は覚悟を決めるしかなかったのだ。
胸の辺りがざわざわ、ざわざわ、騒ぐ。
ばくんばくん煩い心臓の音が、煩くなくなって心地良いリズムにかわった。
「ああもー…俺も本当に…」
あまいよなぁ…。





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