■■■ 07. crimson


「さん…っぞ…!」

苦しそうに自分の名前を呼んで、伸ばされた腕。
指先まで力のこめられたソレに、自分のソレを絡めて。
荒々しい息と、時折漏らす喘ぎ声ごと、その柔らかな唇を唇でふさげば、苦しそうにゆがめられた悟空の眉が見えた。
官能的な悟空の声。
悟空の息。
悟空の身体。
それに身体が熱く火照り、悟空の身体を撫で回す手が促される。

初めて悟空を抱いたのはいつだったか。
雨が降っていたと思う。
正気じゃなかったんだと今なら思う。
食べる事と寝る事と、誰かの傍にいたい。
楽しいことをしていたい。
そんな欲しかもっていなかった子供に、性という欲を教えるつもりなんてさらさらなかった。
醜くて汚いその欲を、できればずっと、知らずにいて欲しかった。

あまりにも人くさいと言えば人くさい、その欲を知らずにいて欲しいと言うのは、いつもの自分の考えから言えばかなり矛盾はしていたのだけれど。

それを自ら、俺は悟空に教えてしまったのだ。

泣いて怖いと言う悟空の身体を組み敷いて、がむしゃらに貪って。
今なら決してそんな抱き方はしない。
どうかしてた。正気じゃなった。そう俺でさえ思ったというのに、悟空は笑った。
いつもの笑顔で笑った。

嬉しい。と。

他人との接触を嫌う三蔵が、自ら俺に触れてくれて、嬉しかった。と。

それから歯止めがきかなくなった。
自分の気持ちだと言うのに、こいつに左右されるのは悔しかったし、むしゃくしゃしたけれども、悟空が笑う。悟空が触れる。悟空の空気を傍に感じる。
された行為の意味も、汚さも、何も知らずに笑う。

まるで俺の行為が、汚いものだとは思ってもいない笑顔で。

それだけで、自然と。
身体は動いて。

甘く囁かれる自分の声も、快楽に震えながら伸ばされる小さな手も、背中に立てられる爪の痛みも。
熱く燃えるようで、狭くきつい悟空のナカも。

悪くは無い。

むしろ心地いいとさえ感じてしまう。

幼い幼い、小猿だとばかり思っていた悟空は、俺の腕の中でそれはそれは大人びた表情をするのだ。色を含んだ真紅がかった黄金色の瞳は、こんなときにしか見れない。
燃えるような紅い黄金色。
それにぞくりと、身体が震える。

「さんぞぉっ…!おれっ…。」

赤みがかった黄金色の瞳から零れる涙を拭って、悟空の身体を大きく貫いて。
まだ少し子供に近いその滑らかな肌に指を滑らせ、唇を滑らせ。
がむしゃらに抱きついてくる悟空に胸がいっぱいになる。

愛しいと。

思う感情はこの気持ちをさすのだろうか?





→深紅



>>>戻る