■■■三空日記2 寒い夜だから。 ぬくもりが欲しくて。 怒られるのはわかっていたけれども、枕を抱きしめて、寝ているのか起きているのかわからないけれども、三蔵のベットの端に寄った。 そのまま目を瞑って俺に背を向けてる三蔵の顔を覗き込む。 整った綺麗な顔が月明かりに照らされて。 綺麗に綺麗に輝く三蔵の髪の毛が、さらりと彼の頬にかかってた。 それだけでため息が出そうになる。 うっとりとみていたら、外気に晒された身体がぶるりと震えた。 とたんに急に寒さを思い出して、もそもそと三蔵の布団にもぐりこむ。 それは三蔵の匂いとぬくもりでいっぱいで…。 じっと三蔵の背中を見ていたら、少しだけ寂しくなった。 寂しくなったから…だからそんな三蔵に背をむけて。 冷えた背中をそっと…三蔵の背中に押し当てた。 とたんに三蔵のぬくもりがソコから広がる。 「おい。」 三蔵の声が聞こえて、やっぱり起きてたんだって思った。 そして三蔵が声をかけてくれたことが嬉しくなる。 普段の三蔵だったらきっと、面倒くさいから無視していたと思うから。 「何やってンだ。猿。狭い。自分とこに戻れ。」 「寒いんだってば。」 「お前が入ってきたせいで隙間ができて、今度は俺が寒いンだよ。」 「じゃあ…。」 少し怒ったような三蔵の声。 でも、どこか優しいから。 その声音に安心して。 三蔵に背を向けていた身体をくるりと回転させて…そして、三蔵の背中に抱きついた。 「コレなら寒くない?」 冷たかった身体に、三蔵のぬくもりが伝わってくる。 鼻をくすぐる三蔵の匂い。 それだけで顔は自然と緩んで、唇の端は自然と持ち上がって。 胸は温かなもので満たされて。 誰かの体温がこんなに温かくて、誰かの香りがこんなに安心して。 そんなの、今まで知らなかった。 「…バカ猿。」 低い声で言われて、また胸が温かくなった。 ぽかぽかして、暖かい。 「えへへ。」 怒るでもなく。 拒否するわけでもなく。 俺の身体を引き剥がすわけでもなく。 そんな三蔵に、嫌がられていないんだって勝手に思って。 寒い夜だけど。 身体中に鳥肌が立って、寒さに目が覚めてしまった夜だけど。 三蔵のふとんはあたたかくて、安心して、心地よくて。 さっきよりも全然、はるかに、ずっと、もっと、あったかい。 2004/11/12 まこりん |