■■■三空日記21



雨が降り続けて、今日で7日目だ。
その間三蔵はずっと…用事が無ければ窓枠に寄りかかりながら、ずっとずっと。窓の外を眺めている。
声をかけても、返事は無くて。
最初機嫌の悪かった三蔵だったけれども、3日目くらいからは様子が変わってきた。苛立っていたオーラが、少しずつ色を変えて。

「さん…ぞ?」

でも相変わらず返事は無かった。

「ちゃんとメシ、食った方がいいって。なぁ。」

窓の向こうではザーザーと雨が降り続いている。
それをただ、虚ろな瞳で三蔵は見つめていて…。

「三蔵ってば。」

喉の奥が痛くなってきた。
雨が降るといつもそう。三蔵は俺のことを見ない。
そして俺の声も届かない。

「…煙草買ってこようか?そろそろなくなるんじゃねェ?なんか俺に出来ることあったら、言って…くれよ。」

「………。」

喉の奥が痛い。
目の奥も。

そして締め付けられるような、胸の痛み。

「三蔵ってば。ねェ。聞こえてる?」
「………煩せェよ。」
「さん…。」

久しぶりに聞いた三蔵の声はとても低く、言葉は相変わらず冷たいもので。
涙が溢れた。

「俺、三蔵の力になりたいよ?何か俺に出来ることがあったら言ってよ。」
「…だったら…。」
「何?」

俺の言葉に、三蔵がくるりと振り返る。
虚ろに窓の外を眺めていた三蔵の瞳が、一瞬俺のことを捉えて。



「お前はココにいろ。」



再び俺に背を向けた三蔵に、衝動的に駆け寄った。



2005/10/15



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