■■■三空日記22 耳元にかかる吐息は、いつもの三蔵の言葉からは考えられないような熱を帯びていて。 囁かれる言葉も、柔らかな声音を持ち。 触れてくる指先は、いつもの冷たい指先とは全然違っていた。 頭の中がグルグルする。 熱くて、熱くて、息が苦しかった。 心臓の音も、心臓が壊れちゃうんじゃないかってくらいに煩くて。 「さんっぞっ…!!」 ぎゅっと。大好きな金色の髪を掴めば、首筋に熱く吸い付いてきていた唇を三蔵がゆっくりと離した。 三蔵の唇が触れていたソコに残る、暖かな熱。 そしてふっと、外気に触れて冷たさを感じるソレは、きっと三蔵が舐めていたから。 ばくんっと、また、心臓が大きく音を立てた。 「嫌か?」 問われた言葉に、びくりと体が震える。 「ならしない。」 恐る恐る瞳を開ければ、じっと自分の瞳を覗き込んできている紫暗の瞳があって。 綺麗な綺麗な、その透き通るような紫暗に映っている、なさけないくらいに力の抜けた自分の顔。 「止めるなら、今だ。どうしたい?」 怖いのは本当だ。 嘘じゃない。 さっきから身体が震えて、頭の中はグルグルで、どうしていいのかわからない。 自分の身体なのに自分のモノじゃないんじゃないかと思うくらいに、勝手に跳ねる身体。 自分の声なのに自分の声じゃないんじゃないかと思うくらいに、聞きなれない変な声。 でも。 「ずりィ…さんぞ。」 泣きたくなった。 自分を覗き込む紫暗の瞳。 口元に浮かぶ、意地の悪そうな笑み。 いつものように平静を装っているつもりなんだろうけれども。 でも、自分にはわかってしまった。 「そんな…顔で言われたら、断れるわけ、ないじゃん。」 切に自分を求める、そんな瞳がわかってしまったから。 口では平静を装っても、表情はいつものように平静を装っていても。 『止めるなら、今だ。』 なんて、声が、震えてる。 「じゃあ、逃げるな。」 熱い吐息がまた、耳元にかかって。 「悟空。」 身体が震えた。 三蔵の背中に回した腕。 こんなに三蔵に近付いたこと、今まで一度もない。 二人の間に、何もない。 空気さえも。 こんなにぴったりとくっついたこと、ない。 「さんぞ。好き。」 「知ってる。」 「大好き。」 「あぁ。」 怖いから震えてるんじゃない。 好きだから。 好きすぎて、身体が震えた。 心臓が震えているのが、身体全体に伝わるように。 ++++++++++++++++++++++++++ きっと前にもこんなの書いた。 もー昔書いたものなんて忘れたよ(苦笑) 似たようなものばかりですみません。 なんていうか、三蔵に「嫌ならやめる」って言わせてみたかったのです。 絶対いわなそうな言葉です…。 でも言います…うちは(笑) 何故なら悟空が嫌って言うわけないと知っているから…!! わ、悪い男!!悪い男だわ……。 2005/11/13 まこりん |