■■■三空日記5



うと。うと。うと。

寒い寒い雪の降る夜。
目の前の暖炉の暖かさは、凍ってしまった手足をじんっと溶かしていくようで。
ずっと前にいたらぽかぽかしてきて…なんだか眠くなってきた。

うと。うと。うと。

「おい。」

遠くで三蔵の声が聞こえるけれど、よくわかんない。
わかんないから…やっぱり。

うと。うと。うと。

自分がぐらぐら揺れてるのわかってるけれど、どうしようもなくて。

「寝るなら布団にいけ。」
「んー…。」

暖かい。暖かくて、暖かくて―――意識は朦朧として。

「火傷するぞ。」
「んー…。」

うと。うと。うと。

もうよくわかんない。

そしたらまた、三蔵の声が聞こえて―――なんて言われたのか、よくわかんなかったけど。
とたんにぱさりと柔らかなケットが頭の上から降ってきて、ふわっと、身体が嗅ぎ慣れたマルボロの香りに包まれた。

「ん…?」

そしてふわりと身体が宙に浮く感覚。
さっきまで床についてた足もお尻も宙に浮いて、重力に引っ張られて。
だらりと落ちた手が、揺れた。

ユラリ。ユラリ。ユラリ。

そして次に足とお尻が触れたのは柔らかな場所。
でもそこはとても、とても冷たくて。
自分を包んでいた暖かなそのぬくもりを失いたくなくて、丁度指の触れた生地をぎゅっと握った。
それを引き剥がされそうになるけれど、でもぎゅっと握って。

よくわからないけれど、失いたくなくて。

耳元で何かを言われて―――。



気がついたら朝。



隣では普段あまり俺には見せない寝顔をして、三蔵が寝息を立ててた。





2004/11/22
まこりん




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