| ■■■ only one 思えばそれは『恋』のようなものだったのかもしれない。 世界で唯一自分と同じ境遇の、たった一人の…青年。 彼の存在を知った時、胸に灯った、ほのかな灯り。 親近感。 彼なら自分の気持ちをわかってくれる。 彼がいるから自分はまだ頑張れる。 一人じゃない。 一人じゃない。 一人じゃない。 それは私の―――心の、支えだった。 「フェイト・ラインゴット。年は19歳、バスケが好き、ファイトシュミレーターが好き…ね。」 彼のことを知れば知る程、会ったコトもないのにずっと昔からの知り合いのような気がする。 顔は写真で見たし、彼のことはなんでもわかっていたし。 ぴんっと指先で写真を弾く。 毎日見ていたから少しボロボロになりかけた写真。 いつも隣にうつっている少女。 もちろん彼女のコトも知っていた。 「ソフィア・エスティード…17歳。フェイト・ラインゴットの幼馴染…。」 付き合っているのかはわからないけれども恐らくそれはない。 そんな情報は得ていないから。 別に彼が誰と付き合おうと関係は無いけれども…なんとなく…許せなかった。 それは彼が何も知らずに『幸せ』でいることへの嫉妬だったのかもしれないけれど。 彼は自分のことを知ったらどう思うのだろうか? そしてなんて言うのだろうか? どんな反応を示すのだろうか? それが今1番興味のあること。 青い…深くて青い…ディープブルーの瞳。 彼のその瞳に、意識が吸いこまれる。 惹きつけられて、落ちる。そんな感覚。 そしてとたんに胸に湧き上がる、淋しさ。 はやく会いたい。 会いたくて、話がしたくて、そして語りあいたくて。 こんなに誰かに『会いたい』と思ったのは、彼が初めてで。 いつも彼のことを考えてる。 いつも彼のことが気になる。 いつも彼に会いたいと思ってる。 まるで彼に恋焦がれた少女のように。 「フフっ…ばかみたいね。」 彼と自分は違うのに。 同じ境遇でも、彼とは違った生き方、生活環境、周りを取り囲むすべてのもの。 何を期待しているのか。 何を求めているのか。 何を知りたいのか。 彼に会ったら真っ先に言いたい言葉は決まってる。 もう何度も会えた瞬間を頭の中で考えたから。 「はやく…会いたいわね。」 写真の中の彼は、ただ真っ直ぐに…カメラの方を見たままの顔で。 もう1度、指で彼の姿をなぞる。 そして指が離れた瞬間…その冷たい写真にそっと唇を近付けた。 あとがき |