■■■ 意地


「どうか…したんですか?」

柔らかいミラージュの声。
それに負けそうになる。
ぴんっと貼った、意地とも呼べるプライド。
ここで泣きつけたらどんなに楽だろうか。
わんわん泣いて、感じたこと、今日あったこと、悔しかったこと。
そういうもの。

全部全部吐き出せたらいいのに。

「なんでもないわ。」

キーボードを叩いていたミラージュの指が止まる。
カタカタと鳴り響くその心地良い音が大好きだった。
心が安心するような、そんな音。
それが途切れて、心が揺らぐ。

「リーダー?」

つきんと胸が痛む。

リーダー。

そう。私はリーダーなの。

こつんと画面に向かい合ったままのミラージュの背中に額を押し当てて。
震えそうになる拳をその肩に押し当てる。
暖かなミラージュの背中。
大好き。
安心した。

「なんでもないわ…ただ…。」

もっと曝け出せたらいいのに。
自分を。
弱い、ただの小娘な自分を。
年相応な女の子なの!って、叫び出したい時がたまにある。
それでもそれが出来ないのはくだらない、ちっぽけな、プライドのせい。

ぴんっと貼りつめた、少しでも触れたら切れてしまいそうな
そんな危ういプライドの糸。

「今はこうさせて。」

くだらない意地。

でも今だけ。

今だけ背中をかして。





明日にはまたもどれる。

皆のリーダーになれるから。

リーダーを演じれるから。

だから。

今だけ。

今だけ。

「しょうがないですね。マリアは。」

ふふっと笑ったミラージュの手が、私の頭の上にぽんぽんとおかれて。

その手の優しさとぬくもりに、意地とプライドのカタマリでできた私の目が滲んだ。

ここで名前を呼ぶのは卑怯だわ。




あとがき

ディプロでの一時。
フェイト達とあうかなり前かと。

結構つらかったと思うんですね。やっぱり。
甘えられる人がいなかったんだと思うんです。
マリアには。

精一杯の甘えかなぁ…ミラージュへの。

2004/05/09 まこりん



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