| ■■■ 素足 「キモチイイな。」 笑うアイツの足もとには、キラキラ光る綺麗な水。 サーフェイリオの街には、足元に水が広がっていて。 建物と建物を移動するには、桟橋を通らないといけない。 村の西側。村から少しはずれたその桟橋に座って、アイツは無邪気に笑った。 「お前もやってみれば?気持ちがいいよ。ここんところ暑かったから。」 「俺はいい。」 「勿体無いなぁ。」 アイツの笑顔は久しぶりにみた。 細くて白いアイツの脚。 思わずその脚を掴みたい、そんな衝動にかられる。 キラキラ光る水がアイツの顔に反射した。 その笑顔に苦笑する。 いい笑顔だ。 だが。 他の誰は騙せても。 この俺は騙せない。 「フェイト。」 「ん?」 「一見綺麗そうだが、清潔じゃないと思うぜ?その足には…よくない。」 俺の言葉に、フェイトが驚いたように顔を上げた。 それにはっと笑って、しゃがみこむ。 フェイトの顔の前に顔をもってきて、その細くて小さな顎を掴み自分の方を向かせる。 フェイトの頬が僅かに紅く、染まったのを見逃さない。 「いつから―――気がついてた?」 「あんな整備されまくっていた環境で育ってきたお前が、こんな文明レベルの星にきて―――山道やら洞窟やらを歩き回って。足に豆が出来ない方がおかしい。」 「………ちぇっ…バレバレかよ。」 ぱしっと俺の手を叩いて、フェイトがふいっと顔を叛ける。 だから―――。 俺はフェイトの脚をがしっと掴んで、そのまま水の中からひき上げた。 「わわわわっ…!」 「冷たい水にひたせば気持ちがいいだろうよ。だが、あまり衛生的とは言えないな。ましてや、お前自身、あまり菌とかに慣れてなさそうだ。」 「わかった!わかったから放せよ!!」 ぐいっと脚を掴まれたせいで、フェイトが後ろに倒れかかる。 それをなんとか手を付いて堪えて、フェイトが脚をばたつかせた。 その度にぽたぽたと水が滴り落ちて、フェイトの濡れた脚が日の光に輝く。 その水滴が、つつーっと流れるその様が、また…どこか色っぽくて。 細くて白いその脚に、瞳が釘付けになる。 思わずごくりと唾を飲みこむと、フェイトが怒ったように俺の頭を叩いてきた。 「放せって!」 「どこか色っぽいな。」 「ふざけるなよ!」 「ふざけてなんていねぇ。」 怒るフェイトを尻目に、濡れたその脚を掴む手に力を込めて。 痛っと小さく声を漏らして眉を顰めるフェイトに笑う。 そしてその脚を―――自分の唇に近付けて。 「クリフ!?」 豆の出来た部分にそっと、唇を寄せる。 少しカタイソレは、やっぱり間近で見ると痛々しかった。 「こっの…変態!!」 「うるせぇ。消毒だ。ただの。」 ぺろりと舐めると、感触が気持ち悪かったのか、フェイトの身体がぶるりと震えた。 それがおかしくて、思わず唇の端を持ち上げる。 「放せっ…!!」 あまりにもな顔つきでフェイトが怒るから、なんだか少しカチンときて。 なんだかむかついてきたから、思わず。 思わず。 そのまま脚を掴んで、フェイトのからだをそのまま押し倒して。 軽く圧し掛かると、フェイトの小さな身体は簡単に俺の腕の中に収まった。 俺の力に敵うわけないのに、それでも必死に俺を退けようともがくフェイトがどこか可愛く思えて。 身体がゾクリと震えた。 楽しくて楽しくて―――仕方無い。 「無理だ。」 「ばっ…かっ…!!」 フェイトの振り上げた拳を、掌で受けとめるとパシっと乾いた音が響いて。 悔しそうに歪められたフェイトの瞳には、自分の顔が映っていた。 「そう簡単に脚をだして誘うなよ。」 「わけがわかんないんだよ!バカクリフ!」 「ははっ。」 掴んだ腕をほどいてやると、フェイトが俺の下からなんとかでる。 真っ赤になった頬で、怒ったように瞳を釣上げて。 少し紅くなった手首を摩ると、キッと力強い瞳で俺を睨み付けた。 「もー寄るな!触るな!触れるな!!バカクリフ!」 「おいおい。それはできない相談だな。」 軽く笑って。 そんな俺に益々怒るフェイトに、こっちは益々笑って。 どうしようもないくらい、その反応が―――楽しい。 怒らせて楽しいなんて、マゾか俺は。 「フェイト。」 「なんだよ。」 怒っているくせに振り返るフェイト。 その細い肩に。手を。置いて。 引き寄せる。 ぼかっ!!! 真っ赤になって俺の頭を叩いたフェイト。 流石の俺でも今は避けられなかった。 フェイトの唇の感触を、味わう方が優先だったから。 少し涙目になって唇を拭うフェイトに笑う。 「まんざらでもねぇクセに。」 そう言った俺に俺に飛んできた2発目の拳。 今度はそれをきちんと掴んで。 もう1度引き寄せて。 2度目の感触に瞳を閉じた。 あとがき |