| ■■■ 狂愛 「兄さん!彼らをどうするつもりなの!?」 悲痛な声だった。 喉の奥から搾り出すようにして…女、ブレアは叫ぶ。 目の前で背中を向けた兄、ルシファーの背中を睨みつけて、熱い目頭に唇を噛み締めた。 もう何度も繰り返してきた問答。 いくら兄に言っても、全然わかってくれないのが悔しくて。 だって自分は間違ってない。 兄の方こそ間違っているのだから。 「彼らはもうとっくに私達の手から離れているのよ!?彼らは彼らで、きちんと意志をもって行動している。これはもうすでに私達とかわらない…『人』なのよ!?」 「ブレア。」 低い声で掛けられた自分の名前に、肩がビクリと震える。 それでも拳をぎゅっと握り占めて、ブレアは兄の背中を睨みつけ続ける。 「人が、人を殺める権利が無いように、私達に…いえ、兄さん!あなたに彼らを消す権利なんてない!」 「ブレア…お前は何を勘違いしている?確かに人は人を殺めてはいけない。」 「兄さん!」 カツン。と、足音が響く。 ゆっくりとルシファーは振り返り、自分とは違うブレアの銀色の瞳を見た。 再び小さくブレアの肩が揺れる。 碧眼の瞳に捉えられて、喉の奥からひゅっと音がして。 美しいとさえ――――。 そう。その狂ったような瞳が、美しいとさえ思えてしまうような、妖しく光る兄の瞳。 がたがたと振るえはじめる身体を、自分の手で抱きしめる。 「それは人が、人の作ってきた歴史だからだ。人の命は尊い。何億年も昔から受け継がれてきた命の歴史…親から子へと、代々残されてきた尊い命の血だ。何億年も受け継がれてきた、そのたった一つしかない命、それが人だ。母親のお腹の中で、十月十日という限られた期間の中で、その何億年も受け継がれてきた歴史を小さな身体に受け継いで誕生するのが人だ!だから人は尊い。なら彼らは何だと言うのだ?!!」 「………。」 ブレアの反抗的な瞳に、ばっとルシファーが腕を振り上げる。 ルシファーの服もつられて翻って。 「プログラムだ!!」 「兄さん!」 やめてと。叫びそうになって、ブレアは耳を塞ぐ。 ぶんぶんと頭を振って、キンキンと頭の中を木霊する兄の言葉に、ぎゅっと瞳を瞑った。 「そうだろう?何度だって修正がきく。何度だって作れるのだ。それは彼らが私の作ったものだからだ。彼らの身体のどこに歴史がある?作られた歴史か?歴史というプログラムをうめこまれ、その歴史があったと思い込まされているただのプログラムだ!」 カツン、カツンと、足音が響く。 1歩、また1歩。 ブレアに近付くルシファーの瞳に捉えられて、ブレアはその場から動けなかった。 がたがたと震える身体。 身体中をゾクリと鳥肌がたって、冷や汗がでてくる。 くらくらと視界が歪んで、ブレアはグッと足を踏ん張った。 「兄さん…違う!彼らの中にも、彼らが作り上げてきた歴史があるわ!それは私達の世界よりも短い、まだ少ない歴史だけれども!彼らの世界でも、母親が、子を産み、その歴史を受け継いでいく時が流れているのよ!?彼らはプログラムじゃない。彼らの意志で動いて、考えて、生きてる!人だわ!」 「何度でもやり直しが出来るのは歴史か!?否!歴史は修正など出来ないのだ。彼らの世界の歴史は簡単になおせる。それはプログラムだからだ!!」 「やめて!兄さん!!!」 「それでもまだ彼らは人だと、お前は言うのか!!!?」 ぐいっと、耳を塞いでいた腕を掴まれる。 「兄さん!!」 ぐらりと視界が揺れて、ブレアは兄から顔を叛けた。 そのブレアの頤を乱暴に掴むと、ルシファーはその顔を自分に向けさせて。 碧眼の瞳に、ブレアの悲痛な瞳が映る。 溢れそうな涙に潤むブレアの瞳に、ルシファーは唇を近付けた。 「兄さん!」 ぐいっとルシファーの胸を押してブレアが抵抗しようとするが、ルシファーは一歩も動かずにそのままブレアの涙を唇で掬う。 ほんのりと目尻に残った熱に、ブレアが切なげに瞳を閉じた。 「兄さん。わかって…。」 白い頬に、涙が一滴零れる。 その白い頬を、ルシファーは掌でそっと包みこんで指先で涙を拭う。 それでも涙は次から次へと溢れ出て、ルシファーの指では拭いきれなくて。 「愛しているの。」 その掌に頬を擦り寄せて、ブレアはルシファーの手にそっと自分の手を押し当てた。 冷たいてのひらが、自分の頬の温もりでほんのりと熱を帯びてきて。 「愛しているのよ。兄さん。だからあなたには間違って欲しくない。」 「バグは消去しなければならない。アレはアレらにとって神である私に逆らったのだ。」 「兄さん…なら私達は…何?」 「………。」 ブレアの言葉にルシファーは瞳を伏せると、ブレアの首筋に顔を埋める。 「あっ…。」 カツン。 踵が、壁に当たる。 気がついたら壁際においこまれていたらしい。 背中を壁に預けて、ブレアは自分の胸元を弄り始めたルシファーの掌に自分の手を重ねた。 自分の銀色の髪の隙間から、兄の金色の髪が見え隠れする。 きらきらとする視界が、好きで―――でもこの行為の意味を知っているから嫌いで。 戸惑ううちにいつも身体は熱を帯びて、疼き初めて…。 快楽の波に呑まれる。 「ブレア…。」 「私達の方が…よっぽど罪作りだわ。神に…父と母の歴史に、歯向かっているのは私達よ。」 「ブレア。黙れ。」 「兄さ…っ…ぅんっ!」 息もできない苦しい口付けに、ブレアの眉が歪む。 唇を噛まれて、絡みつけた舌も噛まれて、甘く広がる痺れ。 脳の芯がくらついてきて、ぼ〜っとしてきて。 身体を、意識を包みこむ兄の香に、ブレアは泣きそうになった。 弄られる胸はもっと触って欲しいと反応するし、息は乱れるし。 直接胸の突起に触れられ、噛み疲れれば…自分の秘部がどんどんと濡れてくる。 「兄さっ……あっ……んっ…!!」 しゅるっと音がして、ばさりと服が肌蹴て。 腕に絡みついて身体に自由がきかないような感覚がもどかしくて。 下着の紐をひっぱられれば、ぱんっと解放されたような感覚がして、熱いソコに冷たい空気があたって…次の瞬間脚を上げさせられて、熱い吐息を感じる。 背中にあたっていた壁も、気がついたら自分の身体の熱でとっくに熱くなっていて。 ルシファーの指が、舌が、鼻が、ブレアの1番敏感な部分を執拗に刺激する。 「ぁあっ…あっ…ふぁっ…兄さ…んっ!あっ…ああんっ…!」 掴むものがなくて、ぎゅっと丁度手の届く兄の頭に指を絡めた。 自然と前屈みになりそうになって、片足だけでは身体が支えられなくてガクガクと震えだして。 「ひゃあっ……!!!」 剥き出しの突起に甘く噛み付かれて、ブレアの上げた片足がびくんっと大きく揺れる。 身体中を駆け巡る快感の波。 頭のてっぺんまで走る電気の波に、身体を震わせて。 白かった肌が、ルシファーに与えられる刺激によって女の色に染まっていく。 「兄さっ…もっ…気が…狂いそうっ………!!」 ぎゅっとルシファーの髪を握りしめると、ルシファーはすっと立ち上がった。 整ったルシファーの顔にべたべたとついた自分の愛液に、ブレアの紅かった頬が更に染まる。 「ブレア…。」 噛みつくように口付けられて、脚を抱え上げられて…。 とろりと溢れ出していた愛液が、受け皿がなくて床にぽたぽたと落ちた。 光るその糸を切るようにルシファーが熱く滾る自身をブレアの秘部に押しつける。 「アっ……!」 柔らかく熱いソコに、押し当てられた熱くて堅いモノ。 ブレアは小刻みに息をすると、ルシファーの瞳を見詰めた。 そこにうつるのは、自分でも信じられないくらいにいやらしい顔をした自分の顔だけがうつっていて。 それでも兄の瞳に自分だけが映っているのだと、嬉しく思う自分がどこかにいるのも確かで。 「ああああっ………!!!」 ずぷりと一気に貫かれて、ブレアの身体が大きく震える。 仰け反ったブレアの白い喉に、噛みついて、ルシファーは腰を動かした。 ブレアの狭い中を掻き混ぜるように腰を振りながら、ルシファーはブレアの身体も揺さぶった。 形良い胸が揺れて、ルシファーの服に掠める。 それすらも刺激で、ブレアはただただ声を上げて喘ぐだけで。 もう何も考えられなくて。 「兄さっ!ァっ……!にぃ……あああっ!!」 ぐちゅぐちゅと下の方で音がして、ときたまぽたぽたと溢れる二人の混ざった愛液が床に落ちる音がして。 羞恥心を煽られながらもソレ以上に興奮してくる自分たちがいた。 「ブレアっ……!!」 汗でブレアの額に、頬に貼りついた銀色の髪を唇で拭って、舌先に感じるしょっぱい味すらもがルシファーの熱を煽って。 今目の前で自分に貫かれ、身体を揺らして、腰をゆらして喘ぐ妹の色香に…。そして自身を締め付けるその狭さと、気持ち良さに。 どくんどくんと血が燃える。 「ふあァァっ…!もっ…ダメ!兄さ…一緒に……!!」 「ブレアっ………くっ…!!」 どくんっと何かが自分の中で弾けて、ぱぁん!!と頭の中でも何かが弾けて。 ブレアはぎゅっとルシファーの首にしがみつくと、頭の中で弾けた余韻にびくんびくんっと身体を震わせた。 ルシファーもまたずるりとブレアの中から自身を抜き出すと、開放感のけだるさにブレアの肩に凭れかかる。 ぽたぽたとブレアの秘部から溢れ出した液の床に落ちる音が、二人の荒い呼吸に紛れて聞こえて。 お互い何も言わずに、ただお互いの荒い呼吸だけ聞いて。 重なった身体のどこかで、どくんどくんと激しく波打つ心臓の音が聞こえていた。 「兄さん…。」 「ブレア…。」 しゃべった熱い吐息が身体にかかっただけで、達したばかりのブレアの身体が小さくピクリと反応する。愛液と自分の放った熱で濡れてとろとろのブレアの秘部に指を滑りこませると、ルシファーは自分の着たままだった服を脱ぎ捨てた。 「兄さん…愛しているの。わかって…。」 ばさりと音がして、ブレアは小さく悶える。 秘部を蠢くルシファーの指に、身体を震わせて……ブレアは自分も服を脱ぎ捨てた。 あとがき |