| 兄さんの声は麻薬。 兄さんの瞳は麻薬。 兄さんの指先は麻薬。 兄さんの舌は麻薬。 あの声で名前を呼ばれたら。 あの瞳で見詰められたら。 あの指先で触れられたら。 あの舌で撫でられたら。 私の身体はもう痺れて。 指先ひとつ――――。 自分の意志では動かせない。 ■■■ 麻薬 「ゼロとイチの集合体。」 低く、低く。 地の底から聞こえてくるような声。 「それが奴らだ。」 血走った瞳。 睨みつけるその瞳。 「ソレにお前は何故そんなにも…。」 端が持ち上げられた、形良い唇。 真っ赤な舌が、ちろりと見えた。 「そんなにも―――。」 ぞくりと背筋が凍る。 ぶるぶると震えるからの奥が、ほんのりと。じんわりと。熱くなって。 「執着する?」 伸ばされた指先が、自分の目の前でピタリと止まった。 長くて白い兄の指先に、カタチの良い爪がある。 ぞくりと背中を走る冷たいもの。 「執着しているのは…兄さん。」 その長い指が、私の頬に触れた。 まるで生きている人間とは思えない程に、氷の様に冷たい指先に身体が震える。 「あなただわ。」 言い放つと同時に冷たい唇に唇が塞がれる。 息苦しい口付けに眉は自然と寄って。 それでもその冷たい唇に自分の熱が移るのに、心のどこかがぐらりと揺れて。 抵抗する気なんて今更なかった。 最初の頃は抵抗をしていたけれど。 そんなもの無意味だから。 兄さんの唇は麻薬。 甘くて危険な、蜜の味。 そう。 それはアダムとイブのリンゴのような―――。 「お前は私のことだけ考えていればいい。」 「兄さん…んっ…。」 兄さんの長い指は私の頬をすべって耳朶を優しく鋏み込む。 顎関節のまわりを優しく撫でられて…その刺激に身体が震えた。 兄さんが触れるところは全て……身体が反応をする。 冷たいその指先は、私の身体が火照れば火照るほどに、その冷たさを増して。 「あいつらは排除すればいい。所詮バグなのだ。お前の中にそう住みつくのなら、デリートするのみ。」 「兄さん、私はパソコンじゃないわ。」 「黙れ。」 「兄さん。」 「私を見ろ。」 ぐいっと顔を兄さんに向けられる。 ぎらぎらした瞳が、私を見ていた。 その瞳に、意識が吸い込まれそうになる。 ぶるりと身体が震えた。 それは王者が持つ瞳の輝き。 まるで刺すような…痛い視線。 見つめられるだけで身体が震えて。 私の中の女の部分が疼く。 じわりと溢れた蜜は、薄っぺらい布を簡単に湿らせて。 冷たい兄さんの中で暖かなもの。 荒い呼吸が鼻先に触れたと思ったら、深く口付けられた。 「ンンっ…。」 息が出来ないくらい激しいキス。 歯列を舐めて、舌を吸われて。 口内を犯すような、そんなキス。 兄さんのキスは麻薬だ。 ソレ以外。 何も考えられなくなる。 忙しなく私の身体を弄る兄さんの指先は相変らず冷たくて。 熱く熱を帯び始めた私の身体には刺激が強くて。 立っていることが出来ない。 そんな私を壁際に追い込んで。 王者である兄の、いつものポジション。 「あっ…ああっ…あっ…!」 ぐちゅりと音がして、兄さんの冷たい指が私の一番熱い場所に入りこんだ。 兄さんのキスでとっくにどろどろのソコは、簡単に兄をまねいれて。 とろとろにとけそうなソコは兄さんの指をキツクキツク締めつけた。 「ああっ…ン。ふぁっ…にぃさっ……ああっ…!!」 ぐちゃぐちゃに描き混ぜられて、ソコだけじゃない。 頭の中もぐちゃぐちゃになってしまう。 ばかみたいに呼吸を乱して、腰を振って、声をだして。 兄さんの支配する喜びに満ちた顔に、もっともっとと腰を振って。 「ブレア。」 「はぁっ…ああんっ…!」 ぐいっと腰を引かれて、手を壁につかされて。 乱れた服もそのままに、下着だけを少しズラされて。 熱いソコが外気に触れる。 でもそこは熱くて燃えるようなぬるぬるの液で覆われていて、全然外気なんて感じなくて。 ぶるりと身体が震えた。 兄さんの指が、ソレを広げて…ぐいっと。 堅くて熱いモノが押し当てられて。 兄さんの身体の中で、唯一。 燃えるように熱いソレが欲しくて。 私は唇を噛み締めた。 「ああああっ……!!!」 どくんっと。 身体中の血液が燃える。 まるで貫くように一気に入りこんできた質感のあるソレは、痛みと快感をつれてきて。 一気に広がるソコに意識が集中する。 「ああっ…はぁっ…あっ……!」 ガクガクと震える手を必死に壁に押し当てて。 バカみたいだと思った。 兄さんも。 私も。 まるで獣みたい。 血が繋がってるのに。 こんなの獣みたい。 「あっ、あっ…あああっ…ン!!あっ、やぁっ…!!」 激しく突かれて、身体が揺れる。 いやらしい水音と、激しい呼吸と、私のいやらしい声だけが響いて。 肌と肌がぶつかる音がときたま響いて。 「ふぁっ…ンっ…にぃさ…わたしっ…!!」 真っ白い光。 二人ぐちゃぐちゃで、繋がってる部分がどこかなんてもうわからなくて。 ばかみたいに声が止まらないから、口に溜まった唾液が唇の端から零れて床にポタッと落ちた。 部屋のライトに輝く唾液の糸を、絶頂に達しそうな意識の中で虚ろにみつめて。 「あっ…ああああっ………!!」 光の波。 はじける目の前。 私の身体なのに、私の身体じゃない。 私の中で波打つ兄さんの熱。 掠れゆく意識の中で―――みた兄さんの瞳は、まるで肉食獣みたいだった。 ああ…ほら。 やっぱり。 兄さん。 あなたの瞳は麻薬。 身体が痺れて、意識が痺れて。 捕らえられて―――逃げられなぃ。 「お前は私のことだけ―――考えていればいい。」 ああ…。 兄さん。 私が考えているのはいつも。 兄さん。 あなただけなのに。 その言葉がまた―――私を捕らえて。 離さない。 あとがき |