| ■■■ カワイイヒト 「FD空間ってのは魔界とかとはどう違うんだい?そこいら辺がイマイチよくわからないんだけどさ」 言われた言葉に一瞬目が見開く。 驚きすぎて、意外すぎて、言葉を失った。 次の瞬間、思わず吹き出してしまう。 「あははははっ……!!」 「な、なんで笑うんだい!?フェイト!!!」 突然吹き出して、お腹を抑えて笑い出した僕に、ネルさんが真っ赤になって怒ってくる。 そんなネルさんの恥ずかしそうな表情が、また可愛くて。 僕よりも4つも年上の人に、美人なこの人に、『可愛い』なんて失礼だとは思うけれど。 でも、だってしょうがない。 だって本当に、可愛いんだから。 僕にはネルさんが可愛く見えて仕方ないんだから。 研究室で真実を知って驚いて。 わけがわからない話に、信じがたい話の連続に、皆が混乱するこの時に。 彼女の素朴な疑問が、本当に意外で面白くて可愛くって。 さっきまで胸を支配していた不安や、混乱の闇はあとかたもなく消え去ってしまった。 彼女の些細な質問で。 笑われたことに照れて、顔を真っ赤にさせて、それを隠すように声を上げるネルさん。 どんっと胸を叩かれて、ネルさんが恥ずかしそうに俯く。 いつもみたいにマフラーに口許を隠して。 真っ赤な顔は隠れても、耳が真っ赤なのが丸見えで可愛くて、愛しくて。 「わ、笑うなんじゃないよっ!!仕方ないだろう?私はあんた達の世界に詳しくないんだからっ…!」 「あはははっ…だって、ネルさんっ……もうめちゃくちゃ可愛いー!!」 「な、な、な、何言ってるんだい!?」 突然の僕の言葉に、普段と違って慌てていた彼女の反応が、いつもとやっぱり違う。 いつもなら『ばかだね。』って照れ隠しに言ってくる彼女が、今回はヤケに慌てて僕から身体を離そうとした。 だからぎゅっと。ぎゅ〜っと。 その細い腰に腕をまわして抱き寄せる。 鼻を擽る彼女の髪の香が愛しい。 「ネルさん。好きです。本当に、あなたが…こうしてここにきてくれて…よかった。」 「フェイトっ……!」 耳元で囁くと、彼女の耳が更に真っ赤に染まっていく。 その反応がやっぱりいつもと違う。 それが楽しくて、愛しくて、やっぱりとても可愛らしくて。 いつもなら見られない反応に、心が弾む。 ぐいぐいっと僕の胸板を押して、腕の中から逃げようとする彼女の力はやっぱり女の人のもので。 力一杯抱きしめたら壊してしまいそうだったから、力を込めていない僕の腕。 …それなのに腕の中でもがいて…でも抜け出せ無くて顔を真っ赤にさせて必死に抗う彼女がやっぱり女の子だと感じさせた。 彼女がいただけで、さっきまでの闇が光に変わる。 そんな彼女が愛しくて、かわいくて、大好きで。 ぎゅっと抱きしめるとその真っ赤な耳に唇を寄せた。 「これからもずっと…僕の傍にいてくださいね。」 口付けた耳は、僕の唇よりも遥かに熱く熱を帯びていた。 あとがき |