■■■ 暖 - Bo×As -
「うわー!ボーマンさん♪見てくださいよ〜!綺麗ですね!!」
くるくるくる…。
辺り一面雪世界。真っ白なその空間で、アシュトンがくるくると回る。
ひらりとマントが舞って、背中のギョロとウルルンが『フギャ〜』となんとも情けない声を出した。
それに苦笑しながら、口に咥えた煙草を揺らしてボーマンは瞳を細める。
「お前…こう寒いのにどうしてそんなに喜べるんだよ。」
口ではそう言いながらも、ボーマンも楽しそうなアシュトンにつられて口許が緩んでしまう。
アシュトンはボーマンのその笑顔に更に楽しそうに、嬉しそうに笑った。
「だって、こんなに真っ白なんですよ!僕は砂漠育ちだから、雪なんて初めてです!!」
「へぇ〜…。」
ゆらゆらゆら。
煙草の煙が空に昇って。
辺りをくるりと見まわせば、何しにきたんだかわかってんのか〜?と聞きたくなる程、はしゃいでいる仲間達。
「すごーい!!」
「寒い………。」
「まぁ…!!」
約一名。
長髪の剣士が不機嫌そうにしているが、他の仲間達は皆それぞれ頬を真っ赤に染めて笑っていた。
『力の場』
決して雪遊びが目的できたのでは無いのだが…。
ボーマンが苦笑する。
「あっ!見て見て!あそこで叫んだら、気持ち良さそうだわ!」
蒼い髪に月の髪飾りを付けた少女が笑って指さす。
少し広くなった、見晴らしのよさそうな場所。
「雪だけじゃなくて、登山気分も味わえるね〜。」
オイオイ…子供かお前ら…。
つっこもうかと思った言葉は、嬉しそうに瞳を輝かせたアシュトンを見て、ついつい呑みこんでしまって。ボーマンは軽く鼻の頭をかくと、『ま…いっか…。』と口の中で呟いた。
「叫ぼうよ!」
嬉しそうな少女。
万面の笑みの仲間達。
ボーマンは嬉しそうに息を吸いこんだアシュトンを、ぼ〜っと見ていて…はっと気がついた。
雪山で大声だああああああ――――――――!!!!!???
「ばっ…お前らっ……!!」
「「「やっほ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」」」
あ…。
ボーマンの制止の声も間に合わず…………。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
「な、何っ!?」
「あっ…!!!」
「わわわわっ………!!!」
鳴り響く時響き。
振り向いた蒼髪の少女と、金髪の青年の動きが止まる。
「うわわわ…???」
驚いて腰が抜けたのか、座りこもうとしたアシュトンの腕を掴むと、ボーマンはぐいっとアシュトンを持ち上げる。
「逃げるぞっ!」
「えっ!?…えっ…??」
突然高くなった視界。
驚いて慌てる仲間が、それぞれ散り散りに駆け出しているのが見える。
ゴゴゴゴゴ……
どんどんと大きくなる地響き。
何がおこったのかよくわからないアシュトンが顔を上げると……
「うわ―――――っ!!!???」
自分に迫りくる雪の波が見えた。
「はーはーはー……。」
「おい、平気か?」
「……ええ…驚きましたね…。」
薄暗い洞穴の中、雪崩から逃げ込んだ場所で、アシュトンはボーマンから降ろされた。
一応雪崩に巻き込まれはしなかったものの、まださっきの驚きから心臓はばくばくいってるし、呼吸も乱れていて。
ボーマンはへなへなと座り込んだアシュトンをそのままに、自分はその辺にある木を広い集めた。
「雪山っつっても木くらいはあるもんだな。」
ごしごしと自分の白衣で気を拭きながら、からんからんと積み上げていく。
そのボーマンの行動に、アシュトンは不思議そうに首を傾げた。
「…何してるんですか?」
「何って…皆とはぐれたし、ここで暖とってあいつら待ってようぜ。」
「……え、でも…探しに行った方が…。」
「い〜んだよ。こういう時下手に動くとよけいはぐれるし、たぶん宝珠のトコに行くためにはここ通んだろ。」
「何を根拠に…。」
カチッ…カチッ…。
ボーマンが胸ポケットにあったライターをとりだし、持っていたキュアパラライズを包んでいた袋に火を付ける。
そしてそれをぽいっと木の山に投げ入れた。
「小せぇか??」
ぷすぷすぷす…小さな紙だったがなんとか燃え尽きる前に木に火が移る。
それにほっと安心したように溜息を付くと、ボーマンはくいっとネクタイを緩めて座り込んだ。
「いいじゃねぇか。たまにはこうして二人で待つってのも。」
な?
そう言ってボーマンが笑う。
いいだろ?そんな甘えるような彼独特の瞳に、アシュトンは軽く頬を染めた。
「……そうですね。」
こくんっと小さく頷く。
「寒いか?…確かこの辺になんかアルコールがあった筈…。」
ごそごそとボーマンが懐を漁る。
「どこに隠してんですかー。も〜。」
「カタイこと言うなって。お、あった。」
ひょいっと出て来た瓶。
そこに貼られた見慣れないラベル……。
その名前にアシュトンは目を丸くした。
「それ、ロマネ…むぐっ!!」
「しーっ!!いいからいいから。」
アシュトンの口をボーマンが手で塞ぐ。
にやりっと笑った、楽しそうなボーマンの顔。
アシュトンはふうっと溜息をつくと、仕方なさそうに…の割りには楽しそうに笑う。
「ナイショな?」
「じゃ、二人だけのヒミツってことで♪」
「共犯な。」
「色気ないですね…。」
「グラスないからこのままで…ツマミねぇ?」
「ツマミ〜…。」
ごそごそとアシュトンが自分の道具袋を漁る。
コロン…コロン…。
「フルーツシロップ…。」
「勘弁してくれよ…。」
「あ、浅漬け…とココナッツミルク。」
「お前ココナッツミルクは飲み物だろうが…折角極上の酒なのに浅漬けかよ…。仕方ねぇか。」
「でも僕が作った浅漬けですよ!コレはちょっと自信有りだな。」
「へぇ〜そりゃ楽しみだ。」
がさがさと持ち物を広げて、火に当たりながら座り込む。
じんじんと暖かな炎。
広がる食べ物。
ぽんっといい音がして、封がとかれたロマネコンチ。
いい香が辺りを漂って。
「へへっ…。」
アシュトンが幸せそうに笑う。
「なんだ?突然。」
「いや、なんか…たまにはいいですね。こういうの。なんか楽しい〜。」
「そりゃな。滅多にない極上の雪山で。」
「極上のお酒ですしね!」
「んで極上?の浅漬けか。」
「その?はなんですかー!!」
ぽすんっとアシュトンがボーマンの胸を押す。
「悪ィ悪ィ…そうだな。で…極上の恋人ってか。」
「………。」
自分の胸を押したアシュトンの腕を掴むと、ボーマンはくいっとロマネコンチを一口口に含んで。
ほのかに紅く染まったアシュトンの頬。
ぐいっとアシュトンの腕を引き寄せると、ボーマンはアシュトンの少しかさついた唇に自分のソレを押し当てた。
「んっ…。」
重なる唇の端から、赤い液体が零れる。
つつ〜っとアシュトンの白い首を滴り落ちて、こくりと喉が鳴った。
その赤い跡を、ボーマンが赤い舌で追う。
「勿体ね…。」
「ん〜…美味しい!」
「そりゃお前極上のグラスだからな。」
にやりと笑ったボーマンにアシュトンが笑う。
「じゃ、今度はボーマンさんが極上のグラスで飲みますか?」
「お願しようかな?」
差し出されたボトル。
受け取ったアシュトンがはにかむ。
二人一緒に吹き出すと、止まらない笑い声が辺りに響いた。
あとがき
ギャグですか?
ギャグではないです〜…
裏発見ありがとうございました!!
時雨さんからのリク甘甘ボーアシュでしたv
お待たせしてしまってごめんなさい〜!
すいません…(><)!
甘いとバカップルを間違えたようです
なんですかこのバカップルは…
しかもこれ最初裏だったのに
どうにもこうにもこのバカップルが
勝手にピクニックはじめてくれました……!!!
お気に召しますでしょうか…??
雪山パラダイスですv
『暖シリーズ(?)』書いてて浮んだネタ
をボーアシュのカプで書くことにしましたv
ボーマンさんアシュトン抱え上げるなんて
なんて力持ち…vvv逞しいわv
モンスタ―も二人のバカップルぶりに近寄れません……
2002/01/08 まこりん
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