あなたが好きで
あなたが好きで
あなたが好きで。





想いが、溢れて―――――今にも溢れだしそうで。




■■■ ハザマ



「どうして…?」

潤む瞳はしっかりと、目の前の男性を捕らえていた。

上気した頬。
掠れた吐息。
乱れた衣服。

「いつもいつも…どうしてなの…?」

まだふらつき、気だるい身体をなんとか起こして、
少女はぎゅっと…男の真っ白な白衣を握り締める。

「レナ…。」

それにびくりと男は身体を振るわせ、
レナの手首を掴もうと手を伸ばして―――戸惑いそれを止める。

止めた手をぎゅっと握りしめて、唇を噛み締める。
自分にすがるようなレナの真剣な瞳から、瞳を逸らすと床を睨みつけた。

「どうして…いつもここまでなの?ボーマンさん・・・。」

レナの口から自分の名前が出たとたんに湧き上がってくる感情。
身体が震えて――――止まらなかった。

問われて想う心はいつもヒトツ。

決して口に出来ない
決して行動に移せない
禁じられた言葉・行動
それらが自分の心と身体を締め付けて。

それは深く重く心に圧し掛かり
指先一本すらも動かせないほどにきつくかたく、自分を縛り絡まる。

「あなたが…教えてくれたのよっ!?」

自分と目を合わせようとしないボーマンに、心の底から叫ぶ。
心が悲鳴を上げそうだった。

人に恋するという気持ちを教えてくれたのは、目の前の男。
理性じゃ止められない想いが有るってことを教えてくれたのも、目の前の男。

少女と、女の境界線があるってことも。
その境界線を越える瞬間が有るってことも。

それがあなたとなら――――
越えてもいい。
越えたい。

そう願い、想い、求める、気持ちが有るってことを教えてくれたのも、
みんな、みんなあなたなのに…!!


一緒に越えようって…手をさしのべてくれない男。


心の底からもどかしくて、悔しくて。
なんでこんな男が好きなんだろう?
好きになっちゃったんだろう?


心の底から好きで、愛しくて。
なんでこんなに恋しいんだろう?
なんでこんなに愛しいんだろう?


「ボーマンさんっ…!なんで、抱いてくれないのよっ…!!」

ぎゅっと瞑った瞳から、ぽろぽろと涙が溢れ出した。
白衣をぎゅっと両手で握って、力強く引っ張る。





理性と本能の狭間で。
狂おしいほど、あなたから手を伸ばしてくれるのを待っている―――――。




>>>戻る