想いは一緒なのだと。
口にすることが出来たのなら。

こいつに涙を流させなくなるのだろうか?

口に咥えた煙草をゆったりと、味わうように吸って。
ゆらりゆらりと揺れる煙の向こう側。
ベットの中で隣に眠る少女の、細く白い肩を眺める。

自分に背を向けてすやすやと眠る彼女は、小さく、小さく丸まって。
すぅすぅと寝息を立てていた。

蒼い髪が流れるように彼女の頬と、首筋に絡まっていた。
さらりと蒼い髪と髪の隙間から覗く、白い首筋。
項から肩へ。肩から上腕へとかけたライン。
その流れの途中にある、大きな歯型。

「痛いっ…。」

と彼女の小さな声がして、それでも自分は噛み付くのを止めなかった。
強く、強く。
衝動のままに噛み付いて。

口にできない想いを、そのまま押しつけた。




■■■ 「…イケナイ事。」



「ねぇ、ボーマンさん。しましょ?」

するりと。
少女の細い腕が、自分の首にまわされて。
ソファに座って本を読んでいたところを、後ろからのしかかられる。

「何を?」

口に咥えていたタバコを、彼女の指が抜き取って。
テーブルの上にあった灰皿にぐりぐりと押し当てられた。

「…イケナイコト。」

さらりと、蒼い髪が視界の端に映る。
ふわりと鼻を擽る少女の匂い。
耳朶を甘噛みされながら囁かれた、このうえない誘惑。

「レナ。」

「ダメ?」

「煙草吸ってたけど。」

「嫌いじゃないわ。」

囁くレナの細い首筋に腕を回して、そのまま引き寄せる。
さらりと流れた彼女の髪と髪の隙間から、桜色の唇を見つけ出して。
ふっくらとしたソレにむしゃぶりつくようなキスをする。
すると彼女は楽しそうに笑って、俺のネクタイに指を絡めた。





「あんっ、あっ…もっと……んっ…。」

胸の先端をぴちゃぴちゃと音を立てて舐めまわして。
てらてらとひかるソレを指先でも弄くりまわして。
俺の膝の上で、彼女は小さく腰を振った。

「おいおい。まだ触ってもいないんだぞ?」

するりと、彼女の擦り合わせた太腿にてのひらを滑りこませれば、そこは既にしっとりと湿り気を帯びていて。
そっと指先で薄い布に触れれば、すでにとろとろに濡れていた。

「やっ…ぁっ…。」

肌蹴た胸元の、小ぶりの胸を微かに震わせて。
レナは俺の首にしがみついた。
肌蹴た俺のシャツから外気に触れてる胸板に、レナの胸が押し当てられる。
かたくしこった胸の先端が掠めて、それがまた刺激なのかレナが小さく声を漏らした。

「お前から誘ったんだぞ?」

とろとろの布を押しよけて、指を滑りこませれば。
そこは萌えるように熱く、溶けるようにとろとろで。
どろりとした柔らかなソコで、指を動かした。

どこがどうなってるのかも、わからないくらいに。
とろとろでぐちゃぐちゃで。
わざと音を立てるように、どろどろとした愛液をかきだした。

「濡れ過ぎてて、どこがお前のいいところかわかんねえよ。」
「やっ…言わないでっ………!」
「かきだしてもかきだしても、溢れてきやがる。」

べちゃべちゃになったてのひらで、レナの太腿をさすって。
どろりとしたそれに、レナは再び身体を震わせて。
俺の首にしがみついた腕も、がくがくと震えていた。

「やぁっ……!!」

俺の膝上で太腿を擦り合わせていたレナ。
その太腿をぐいっと押し開いて、間に俺の太腿を滑りこませて。
レナの愛液がどろっと、俺のズボンを濡らしたのがわかった。

「ひらかなっ…で…!」

羞恥に頬を染め、首を振るレナの頬に唇を寄せて。
零れ落ちた涙と、唇の端から零れた雫を舌で舐めとって。

「この方が…わかりやすい。」

「んっ…あっ、はぁっ…ああんっ!!」

ぐちゃぐちゃと音を立てて、そこを掻き混ぜる。
レナの声がひときわ大きくなって、腰を軽く降りはじめて。
俺の首にしがみつくレナの身体が、ぶるぶると震えて。

「ああっ、あっ、ぼぉま…さっ…ン!!もっ、やっ…イれ…てぇっ…。」
「ん?」
「くるっ…ちゃぅ…!ああっ、ダメ、やっ…!!あああっ…はぁっ…ン…!!」
「レナ。」
「ぼぉまんさっ、好きっ、すきなのっ…、あっ、私っ…!」

大きく喘ぐレナの首筋に噛み付く。
衝動だった。
勢い。
頭の中が真っ白で、そのまま熱く滾った自身をレナの中に勢いよく突きたてて。
ずぷっと音がして、レナの身体がぶるりっと震えて。
ただでさえ熱く波打っていた俺自身が、もっと熱くとろけそうなレナの熱で包まれる。
どろどろの、ぐちゃぐちゃで、きつく、きつく絡みつくレナの中。

「痛っ…あっ…!」

レナの白い首筋に噛み付いた舌先が、レナの汗の味を掴む。
鼻を擽るレナの香に混ざった、汗の香。

喘ぐレナ。

「あああっ!!あっ、ああっ、はぁっ…ああっ、やっあン……!」
「くっ…。」

ぐちゃぐちゃと響く音。
腰を押しつける度にぽたぽたと、床に二人の混ざりあった液が零れて。

「うあああっ、あっ、ン!ダメっ、ダメぇっ、やぁっあっ……!!」

ぎゅっと俺にしがみついたレナに、ひときわ強く、激しく、大きく。
腰を突きたてて。
ガクガクと揺れる彼女の細い身体を抑えつける腕に力を込めた。





白く、細い首筋に残る、歯型。

『…イケナイコト。』

甘く囁かれた誘惑の言葉。

いつだってそう。
誘うのはレナの方から。

惹かれ合っているもの同士の行為なのに
『イケナイコト』
なんて言う時。

レナはどんな気持ちなのだろう。

白く、細い首筋に残る、歯型。

そっと指を滑らせる。
小さくレナが身を捩って、俺は微笑した。

1度も。

口にしてない。

俺の気持ちを。

わかっている。

でも、それは。

口にできないから。

セックスの時、必ず涙を流すレナ。
必ず『好き』だと言うレナ。


涙のワケが、快楽からくるものだけでないことを
自分は気が付いていた。

けれども。

謝ることも、受けとめることも、できない、不甲斐ない自分。





想いは同じなのだと。
いつか口に出来る日がくるのだろうか?



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