Cr×As






はぁっとため息をはけばほんのりと白な息が広がって。
一瞬だけ温かかったその吐息は、外気の冷気によってすぐに冷たくなってしまう。
それでも…それでも。
肩にかかる暖かな温もり。

クロードはもう一度深く溜息をつくと、寒さから真っ赤になった鼻をすんっとすった。
エナジーネーデにある雪の積もった山『力の場』に、彼らは宝珠を求めてやってきていた。
あたりはもう日も落ちて暗くなってしまい、見張りをかって出たボーマンと、それに付きそうように見張りをすると言い出したレナに数時間だけの見張りを頼んで、一行は睡眠をとることにしていた。

いくらはやめにココを攻略してすぐに次の場へ向かいたい…とは言っても、さすがにこれだけ寒くて敵も強く、体力的にも精神的にも辛い山を1日やそこらで攻略出来るはずがなく…。
今夜はココですごす3日目の夜だ。

身体は疲れているし、精神的にも連戦でかなり参っている。
それでもクロードはここ数日眠れなかった。
寒いが持って来た寝袋と焚き火のおかげでそれほど寒い…と言うわけでは無い。
微かに白い吐息ではあるが。
クロードが眠れない理由…それは…。

耳元でスースーと規則的に聞こえてくる…寝息。

寒いからなのか、すり寄ってくる愛しい人のせいだった………。
すり寄ってくるのでその人物の吐息を感じる。
吐息だけじゃない。温もりも、香も、掠れた寝言さえも聞こえてくるのだ。
それがただの『おなかいっぱい〜』とか『うう〜ん』とかならまだよい!!
吐息に、温もりに、香に…クロードの身体は熱く熱を帯びてしまうと言うのに、よりによってこの人物は…更に熱を煽る言葉を、それはそれは色っぽい声で漏らすのだ。

「くろー…ど…。」

(あ――も―――――!!!)
クロードはわしゃわしゃと髪の毛を掻き乱すと、ごろんと寝返りをうつ。
隣で寝ている人物に背を向けて、寝てしまおうと瞳をぎゅっと瞑るのだった。
「んっ…寒い…。」
(うあ―――――!!)
ころん。ぴと。
隣にいた人物は、当然無くなった温もりを求めて転がる。
そしてやっぱりクロードの背中に貼りつくのだった。
しかもあんなセリフを呟きながらくっつかれたら思わず抱き締めて暖めてあげたくなってしまう。
「…アシュトン…君は……。」
(本当にもう―――――まいるくらいに僕を誘惑するね?)
ここが外じゃなくて、ここが暖かなホテルの1室ならば。
クロードは寝ているアシュトンに悪戯をするのだが…さすがにここでは出来ない。
焚き火から離れるわけにもいかないし、すぐそこではボーマンとレナが何やら話している。

クロードは背中越しに聞こえてくる、規則正しい寝息を聞きながら苦笑した。

はやく暖かな街に行こう。
そしてこんなに我慢してたんだよって…1晩中かけてアシュトンに教えてあげるのも、それはそれで楽しいかもしれない。
くふふ…と1人ニヤケ笑いをしてクロードは熱く火照った自分を誤魔化した。

こんな生地獄を味わいはじめて3日目の夜の出来事―――――――。






あとがき

はぁ〜久しぶりのクロアシュなのに
ショートショートです
でもこういうの好き…
ばかっぽいし。クロード

そして1晩中愛されちゃうアシュトンが書きたくなってきて
ウズウズ…書こうかな〜…←本能の赴くままに
でもコレのボーレナ編が書きたい…
ってか書きたいものばっかりじゃー!!!(大暴)

あは☆

2002/10/29 まこりん