最近悩んでいる。 なんでだろうってくらいに単純で、でも答えが出なくて、わけがわからなくて。 なんでこんなにどきどきするのかな? 彼に触れると。 彼に触れられると。 どきどきして、熱くて、苦しいのに…でも触りたくて。 そして触ってもらいたくて。 彼が笑うと嬉しくて。 なんでかな?皆こうなのかな? 好きな人ができると―――――――。 「アシュトンっていい匂いがするよね?」 「えっ…?」 「風に乗って…感じたよ。」 雲1つない青空の下で、いつもみたいにぽ〜っと日向ぼっこしてたら、後ろから声を掛けられた。 もちろん知っている人だったし、声をかけて来てくれたのは…自分の…大好きな、大切な人だったから。違う意味ではドキリとしたけど、驚いたわけじゃない。 「そ、そうかな?」 「うん。いい匂い。好きだな。」 にこっと…お日様みたいに笑って、彼が言うから。 ほら、やっぱり僕の心臓は大きな音を立てて、加速していくんだ。 それでやっぱり僕はどもってしまう。 「あ…ありがとう…。」 言いたいことはそうじゃないのに、言葉にすることができなくて。 『好きだな』って…言ってくれたのが嬉しくて。 もちろん僕のことじゃなくて、匂いだってわかってるけど…。 この前買ったコロンは、なんとなく…なんとなくだけど、彼が好きそうな香かな〜って思って…ついつい買ってしまったものだから嬉しい。 「隣いいかな?」 「うん。いいよ。」 ふわりと風が僕の鼻を掠めて、感じる香りは太陽みたいな暖かな香。 嗅ぎなれた彼愛用のコロンの香で…。 とさりと僕の横に腰を降ろした彼の、金色の髪が太陽の光に輝いて。 さらりと風にのって、キラキラと輝くその眩しさに僕は瞳を細める。 その僕に彼は不思議そうな瞳を向けた。 僕はこくりと唾を飲みこむと、思い切ってさっき言えなかった言葉を口にする。。 「ぼっ…僕も好きだな。」 「何が…?」 ああっ…!僕のばかっ!! 『何が』が抜けてる! これじゃまるで告白だよっ…! って…思ったら急に一気に身体中が熱くなってしまって。 自分の顔が真っ赤に染まるのがわかった。 「ク、クロードの…香。」 真っ赤なのはわかってるけど、伝えないと告白になってしまう。 僕は震える声で、なんとかそれを伝えた。 そうしたら…今度はクロードの顔が真っ赤に染まって。 耳まで真っ赤に染めて、クロードははにかむように笑った。 「………ありがとう。」 恥かしそうに、でも嬉しそうに笑って、僕の腰に腕を回して引き寄せてくれた。 その腕に逆らえるはずもなく、僕はぽすんと彼の胸に収まって。 そうしたらやっぱり鼻を掠めるのは、クロードの香りだけで…。 どきどきしていた心臓が、ゆっくりとおちついていく。 なんでだろう。 近付くとどきどきして、触れると頭が混乱するのに。 こうやって抱き締められると、なんでか心地良くておちついていく。 乱れた息も落ちついて、僕はそのままクロードの胸に頬を摺り寄せた。 ぴくりと僕を抱き締めるクロードの腕が反応して、それがなんだか面白くて。 僕の自然と緩んでしまう口許。 こういう空間っていうか…空気。 やっぱり好きだなぁ〜って、思った。 好きな人が傍にいて。 好きな人の体温を空気を全身で感じられて。 それ以外は何もない…そんな空気。 「僕ね、やっぱり――――クロードが大好きだよ。」 自然と、ぽろっと…口から出ていた。 そうしたらクロードはぎゅっと僕を力強く抱き締めてくれて、額にヒトツ―――――。 優しいキスをくれたんだ。 あとがき |