抑え気味のお店のライト。
ゆらりゆらりと漂う煙草の香。
白い向こう側。
黄金色の髪の毛が見えた。
■■■ eyes
「オペラさん!探しましたよ〜〜!」
「クロード?」
くるりと振り返ったオペラの顔に、一瞬ドキリとして。
クロードはオペラに近寄っていた足を一瞬とめる。
ゆらりゆらりと揺れる白い煙の向こう側。
「珍しいじゃない、君がこんなところにくるなんて。」
白く長い指で掴んだグラスを、くるりと揺らして。
カランと音を立てた氷が綺麗な飴色の液体の中で動いた。
ソレに見惚れながら、クロードはオペラの向かい側の席につく。
「と言うより、君みたいな未成年が来るところじゃないわね。」
ふふっと笑うオペラの笑みに、クロードは顔を顰めて。
唇を軽く尖らせると、テーブルの上に合ったナッツを口にほおった。
「すぐそうやって子供扱いするんだから。」
「でも未成年は親の保護の元にいるんだもの、イケナイ遊びは教えちゃまずいでしょう?年上としては。」
「………。」
「フフッ…ごめんなさい。」
人一倍子供扱いをされるのを嫌うクロード。
オペラの前ではより一層強く嫌う傾向があった。
その理由を、クロードもオペラも知っていた。
でもオペラはそれについては決して触れない。
「いいですよもー…一人で飲んでいてもつまらないでしょう?僕も付き合います。」
「一人で飲むのには慣れてるわ。」
困ったようなオペラの笑み。
ほんのりと赤味を帯びた目許。
白い肌。
「僕はあなたの隣で飲んでいたいから、いさせてください。」
「その位置はエルだけのものよ。」
「今も?」
「今も。昔も。これからもよ。」
オペラの瞳は真っ直ぐにクロードの瞳を見詰めていて、真剣そのもので。
有無を言わさないその瞳に、クロードは溜息をついた。
「言いきりましたね。」
「それでも隣で飲みたい?」
試しているような意地の悪い笑み。
飴色の液体を口に含むと、オペラはコクリと喉を鳴らす。
白い喉が動くソレをみながら、クロードは手を上げた。
バーテンが近寄ってくる。
「隣にいるのを拒否されないかぎりは。」
そんなクロードに、オペラは笑う。
「可能性がないわけじゃないでしょう?」
バーテンに彼女と同じものをとだけ伝えて、クロードは腰掛ける。
たったひとりの男性にだけ許された、その指定席に。
オペラは何も言わずに飴色の液体を飲み干した。
「私にももう1杯お願い。」
軽くお辞儀をして去るバーテンに、大人の女の笑みを向けて。
そんなオペラにクロードは少し悔しそうに笑った。
「強いわよ?平気なの?」
「あなたに近付けられるのなら。」
クロードの言葉に、オペラは笑う。
その笑顔はバーテンに向けたものでも、『エルネスト』の話をする時の笑みでもなかった。
我侭な弟に、困った様に笑う姉のような笑みで。
それがわかってしまってほんの少し、クロードは淋しくて。
「背伸びしない恋もあるわ。」
「でもあなたはエルネストさんのために、高いヒールを履いているから。」
「……言うわね。」
「言いますよ。あなたが欲しいから。僕の為にヒールを脱いでくれる日はきませんか?」
コトンと目の前に置かれたグラスガふたつ。
オペラの掴もうとしたソレに、自分のグラスをカチンと当てて。
オペラの黄金色の瞳を、下から覗き込んだ。
頬を朱に染めたオペラの瞳が、ゆらりと揺れる。
それをクロードは見逃さなかった。
「キザですか?」
「………そうね。でも…考えとくわ。」
離れたクロードのグラスに、今度はオペラがカチンとグラスをあてる。
真っ赤なルージュの口許を、柔らかく持ち上げて。
二人交えた瞳が、紅く揺らいだ。
あとがき
ふっちいさんからのフリリク
クロオペかクロオペエルでした!
クロオペにしたかったんですが
ごめんなさい…
うちのオペラさんは本当に…情熱的みたいです…
いつかエルの絡まないクロオペを捧げたいと思います…本当に…
なんか裏のクロオペエルっぽくなっちゃったよ〜(><)
リクエストありがとうございました〜
この小説をふっちいさんに捧げます
2004/01/17 まこりん
|