■■■ THE END OF THE WORLD act 9.天秤 「泣かないで。」 耳元で囁かれる声が酷く甘くて。 ぺろりと目尻を舐められて、頬が熱く火照る。 身体は燃えるように熱くて。 呼吸も乱れて苦しくて。 お風呂場は湯気で白い世界を作っていた。 「ねぇ…オペラさん。」 甘いあま〜い囁きと一緒に、シャワーの音が鳴り響く。 顔中に降らされるキスの雨に、頭の芯が痺れて。 濡れた身体をそのまま、目の前の金髪の青年に預けた。 「んっ…。」 彼の指が優しく、やさし〜く身体を撫でて。 唇が優しく、甘く、時に痛く。 刺激的に身体中に触れて。 「シャワーの音があるから、声を出しても平気だよ。」 甘く囁かれるその声の優しさに涙が滲んだのか。 それとも今のこの状況で滲んでいるのか。 私にはわからなかったけれど。 瞳を開けたら、綺麗な碧眼の瞳が私を覗き込んでいた。 「アっ…くろ…どっ…。」 口付けられて、口内を貪られて。 私の身体は熱く火照って、もっともっとと刺激をもとめて。 身体中を優しく撫でる彼の指先だけじゃもの足りなくて 自分から腰を振った。 「ね…触って。もっと…。」 そう願えば、彼は撫でていただけの指を私の一番敏感なところに潜りこませた。 くちゅりと音がして、彼の指が私の愛液に絡められて。 ちゅくちゅくとシャワーの音とは違う音が響いて、私は湯船に手をついた。 膝立ちで彼と向かい合って、狭い湯船の中でばかみたい。 お湯が入っていなかった筈の湯船なのに、いつの間にかシャワーのお湯が溜まったのか、うっすらと10センチくらい溜まってた。 「私のこと、好き?」 「好きですよ…。アナタ無しじゃいられないくらい。」 甘く囁かれる言葉に、涙が出た。 ぽろぽろと溢れる涙を、彼は優しく優しく唇で拭ってくれて。 あの日以来。 彼は変わった。 優しく囁く声は酷く甘くて、口調もどこか甘えたで。 無理していたのかもしれない。 エルに恋焦がれる私の前で。 オトナのオトコになろうと。 そう気がついたら、胸の奥が苦しかった。 「あっ…ア……ン…ふっ…。」 とろけそうな意識の中。 エル。 掻き混ぜられるソコが痺れて。 エル。 一番柔らかくて一番敏感なソコに、彼の一番堅くて一番熱いところが押し当てられて。 ねぇ…エル。 身体がぶるりと震える。 「やっ…だ…。だめ…ン…くろ…っど…。」 「嫌?」 「………アっ…。」 ぐいっと…腰を押しすすめられて、私のソコは簡単に彼を受け入れた。 もう何度も何度も彼を受けいれてるから 私のソコはすっかり彼のカタチを覚えて 身体は悦んで、悶えて。 熱い熱い熱の波に意識はとばされて。 私はもうあなたに愛される資格はないのかもしれない。 「アァっ…あっ…はァっ…ン!ン!ああっ…ン。」 がくがくと下から突き上げられて身体は揺れて。 ぐちゅぐちゅと結合部分から音が響いて、膝のあたりで溜まった水がぱちゃぱちゃと跳ねて。 繋がった部分からぱたぱたとお互いのアレが混ざって滴り落ちて、ぽちゃぽちゃと何か音がして。 欲しい。 欲しい。 欲しい。 欲しいの。 エル。 エルが欲しい。 エルが欲しくてダメなの。 目の前にある金髪に指を絡める。 こんな風にクロードに抱かれながら、頭の中はエルでいっぱいで。 気が狂いそうな快感の中でも、頭の中はエルでいっぱいで。 エルに恋焦がれながら、クロードに抱かれている私。 クロードに抱かれながら、エルを恋焦がれてる私。 心も身体もこんなに。 こんなに――――エルを欲している自分。 私は一体誰を裏切っているんだろう。 |