■■■ イロトリドリノセカイ
「じゃあ・・・・これが千二百年〜千四百年頃に作られた剣ですの?」
「そうだな。この柄のところが・・・・。」
セリーヌとディアス・・・・意外な組み合わせの二人が最近よく一緒にいるのを見かける。
ある時は・・・・ディアスの剣についてだったり、ある時はセリーヌの紋章術についてだったり・・・・・なにやら話しているらしいが・・・・。
ちょっとした昼食の後の、わずかな時間でさえ、最近よく会話している二人に少々戸惑いを隠せ無いように、ボーマンがレナの元へと近づいた。
「あの二人・・・・最近よく一緒にいるけど、なにやってんだ?」
小さな岩に腰かけていたレナが、ボーマンの問いに困ったように笑った。
「なんかね、お互い得意分野について教えあっているみたい。」
「なんでまた・・・・。」
煙草をレナが嫌がることを思い出して、口にくわえていた煙草をそのまま足で踏み消すと、ボーマンはレナの隣に腰かけた。
「セリーヌさんはトレジャーハントの役に立つからって・・・・。ディアスは紋章術使いのモンスターと戦うのに役立つかららしいわ。」
「ディアスがレナ以外と喋るとはな・・・・。」
二人の視線がディアスとセリーヌに向けられる。
意外だと思っていた組み合わせだったが、やけにたくさん喋っているディアスと、
真剣に聞いているセリーヌがなんだかだんだんお似合いに見えてくる。
剣の柄をセリーヌに見せるディアスの肩に、セリーヌの手が軽く置かれているのに気が付いた。
「・・・・・・・なんか、フクザツ。良い事だとは思うんだけど・・・・。急に寂しいな。」
フクザツな笑顔でそう言うレナの腰に、ボーマンはそっと腕をまわした。
「兄を取られた気分?」
「かな。」
優しく自分を見下ろしてくるボーマンに微笑み返して、レナはぽすりとボーマンの肩に頭を乗せた。
「でも・・・そんな気分を、ここんところディアスはずっと感じてたんだろう?」
「・・・・・いじわるね。」
そう言って頬を軽く膨らませたレナの額に、ボーマンは優しくキスを贈った。
「ディアス最近楽しそうね。大好きな剣の話が出来るから?」
突然頭の上から降ってきた言葉に顔をあげる。
あったのは幼馴染の少女の笑顔。
「それとも、セリーヌさんと話せるから?」
隣に腰を下ろしたレナの言葉をさけるように、ディアスが視線を地面にやった。
「くだらんな。」
「ディアス、セリーヌさんのこと、気にいってるんでしょ?」
「あの女はいつだって、お節介で、高慢で、高飛車で、
平気でそのへんの男につっかかるわ、露出度の高いカッコでそのへんの男に絡まれても平気だわ、人が本を読んでいても剣について聞いてくるわ、迷惑だとわかっていないわで・・・・・。」
そこまで言いかけて、隣に座った少女がくすくすと笑っているのに気がつく。
怪訝そうに眉を潜めたディアスに気がついて、レナがごめんというように掌を顔の前で合わせた。
「驚いた・・・・・。」
「・・・・・・・?」
「ディアス。ちゃんと昔のままなのね。」
くすくすと笑いながら、レナがこつんとディアスの額をつつく。
「知ってた?あなたって好きなもののことは、喋りだすとキリが無いのよ?」
レナの言葉に、一瞬何も考えられなくなる。
あまりにも信じられないじぶんの癖にビックリして言葉を失った。
目を丸くして固まってしまったディアスに、レナはこらえきれ無いように笑いだすと、
悪戯っ子のように微笑んだ。
「覚えてる?ディアスが好きだった猫のこと。あのこのことも、喋りだすと止まらなかったもの。あなたは。」
遠い昔、妹と拾ってきた子猫のことを思い出す。
思い出して・・・・・そして、困ったようにディアスは笑った。
「良い事だと思うわ。セリーヌさんは素敵な人よ?優しくて、強くて、そしてきっとディアスのこと・・・・・理解してくれているわ。二人でいると幸せそうだもの。」
そう言葉を残し、去っていった少女の背中を暫く見ていた後、ディアスは再び視線を足元にもどした。
「ディアス!」
後ろから聞こえてくる声に自然と口元が緩む自分に気が付いた。
振り向かなくたって、確認しなくたって、それが誰だかわかってしまう。
一度気がついてしまったら後は意外と簡単で。
あの事件以来、モノクロにしか映らなかった世界が、なぜこんなにも鮮やかな色なのか・・・・・・それはきっと・・・・・・。
息を切らして駆け寄ってくる・・・・・・・あの愛しい人のおかげらしい・・・・・・・。
あとがき
ずっと昔?に出したディアセリ本より
ディアセリ第2弾ですv
ディアスがセリーヌさんへの想いに気がつきましたv
レナに言われてですけれど(笑)
続きが書きたいなぁ〜
とは思っていますが、どうなることやら・・・・(汗)
2002/03/21 まこりん
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