■■■ secret love - act 5 初夜 -
「ンっ…!」
アシュトンの唇から、普段は絶対に聞けないような声が漏れる。
それはひどく甘く、鼻に掛かった吐息のような声で。
クロードの身体の熱が、更に熱く煽られていく。
主導権を握っているのはどちらなのか。
堪えきれない熱を、巧くコントロールすることすら出来ない。
クロードは額に浮んだ汗を、ぐいっと腕で拭う。
「アシュ…。」
「くろォ…ど…っ!」
クロードがアシュトンの胸の尖りを指で刺激すると、アシュトンの背中が仰け反った。
その反応が嬉しくて、クロードはそのままその突起を口に含んだ。
既に固く尖るそれは、クロードの舌の上で転がされ、唇で吸い上げられ…。
その度にアシュトンがぴくぴくと身体を跳ねらせる。
白く透き通るような肌は、熱と羞恥心で桃色に染まりはじめていた。
「アシュ…?」
「クロードッ!」
アシュトンはクロードの髪の毛に絡める指に力を込める。
こんな刺激知らなかった。
誰かに触れられる擽ったさも、誰かの熱を感じる気持ち良さも。
クロードの吐息が肌にかかる度に、その刺激に背中が粟立つ。
これが感じている…ということなのだろうか?
オンナノコじゃあるまいし、胸を触られて、弄られて感じるなんて…。
「ァっ…ん!」
それでも声は自然と出てしまって。
まるで自分の声ではないみたいだ。
慌てて掌で口を覆えば、クロードがくすりと笑ってその掌を掴んだ。
「くろっ…ヤだ…。」
「なんで?もっと…。」
そのままアシュトンの手を自分の口許に引き寄せる。
「もっと…。」
「っ…!?」
ぴちゃり…。
指先を口に含む。
「くくく、クロードっ!」
アシュトンの頬が瞬時に真っ赤に染まっていく。
「もっと…声を聞かせて。」
指先に舌を絡めて、その細い指を甘噛みすると、アシュトンが辛そうに眉を寄せた。
その表情が、やけに色っぽくて…クロードはそのまま空いている手でアシュトンの顎を掴んだ。
「んっ…!」
部屋の明りに光る糸を引きながら、クロードの口からアシュトンの指が抜き出る。
その刺激にアシュトンが瞳を開いた瞬間、クロードがアシュトンの唇を自分のソレで覆った。
「んっ…!」
ちゅ…。
絡まる舌。
アシュトンの身体から力が抜けていく。
辺りに響く卑猥な水音。
わざと音をたてながらクロードがアシュトンの舌を吸い上げた。
「はァ…っ。」
二人の唇の端から流れ落ちる、透明な液体をクロードが指で掬う。
そしてそのままその指をアシュトンの胸元へと滑らせた。
濡れたその指の辿ったアトが、部屋の外気に触れて冷える。
火照った身体にその刺激は強すぎて、アシュトンは疼く身体にぎゅっと瞳を閉じた。
呼吸が苦しくて、頭がボーっとしてくる。
「くろっ…!」
虚ろな瞳が、クロードの指の動きによって開かれた。
「どこ…っ!」
キスをしているからクロードが何をしようとしているのかわからない。
だからクロードの指の動きは、アシュトンには次にどこを触られるのかわからない、もどかしいものだった。
そしてその指が絡まるソレは、自分の熱いカタマリで。
「あっ…!」
「アシュトン…。」
唇が離されて、熱い吐息が顔にかかる。
見ると、潤んで火照るクロードの瞳。
「うあっ………!」
はじめて他人に触られた刺激は、普段自分が触る刺激とは全然比較にならないくらいに違うもので。
「くろっ…ダメだよっ…さわらな…っ!」
逃げるように腰を引いても、クロードに抱き締められているせいで逃れられない。
「アシュトン…もっと、声…聞きたい。」
「やっ…くろっ…ドっ…!」
アシュトン自身を上下に扱く手に、クロードが力を込める。
「きもちいい?ねェ…?アシュトン?」
「うわあっ…!」
するするとクロードの顔が下におりていく。
「やだっ…!クロードっ!?」
驚いてクロードの髪の毛を掴む。
それでもその行為は防げなかった。
熱く昂ぶる自身の熱に。
まとわりつく生暖かなもの。
「ふっ…あっ!」
自分で触るのとは比較にならない、想像以上に刺激にアシュトンの眉が寄せられる。
「ァっ…あっ…ヤ…!」
アシュトンの瞳から、生理的な涙が零れ落ちた。
ねっとりと絡み付く生暖かくざらついたもの。
身体の奥底から湧き上がる熱が、全て下半身ヘと集まっていく。
「あっ…!ダメだよっ…!くろー…クロードっ!」
その瞬間、アシュトンの身体が大きく跳ねる。
どくどくと波打ち放たれたそれを、クロードはごくりと呑み込んだ。
全てを吸い出そうと先端を吸い上げる。
唇の端から零れ落ちたそれを、指で拭うとぺろりと舐めとった。
「クロード…ダメって言ったのに…。」
激しく胸を上下に動かしながら、アシュトンが涙目で訴える。
その瞳に、クロードがくっと喉の奥で笑った。
「アシュトンかわいい…」
「う、嬉しくないよっ!」
クロードの言葉に、アシュトンが頬を更に真っ赤に染める。
恥かしくて、恥かしくて…アシュトンは泣きたい気分だった。
誰かに触られる心地よさも、誰かに促される絶頂感も、すべてが初めての経験で、初めての刺激で。
ぽふんとふとんに沈んだアシュトンを、クロードが後ろから抱き締める。
「あしゅ…。」
「………。」
「まだ終わってないよ?」
「えっ!?」
がばりと起き上がろうとしたアシュトンを、組み敷くようにクロードが体重をかけた…。
先程付けたアシュトンの首許にある赤い跡に口付けながら、クロードはアシュトンの太腿を撫で上げた。
その刺激にぎゅっと眉を寄せるアシュトンに微笑して口付ける。
そしてくるりとアシュトンの身体をひっくり返した。
「クロード…?」
不安そうに自分を振りかえるアシュトン。
それに優しく笑って、クロードがアシュトンの蕾に指を擦り寄せる。
それに一瞬驚いたのか、アシュトンは目を見開いたけれど、クロードがこれから行う行為を
ただだまって待っているようだった。
「くっ…ん…。」
アシュトンの僅かな声が闇夜に溶け込む。
クロードはアシュトンの滑らかな背中に口付けながら、自分の指をアシュトンの蕾へと侵入させていく。
もちろん濡れてもいないそこに、クロードの指がそう簡単に入るわけがなかった。
クロードは軽く舌打すると、指を引き抜く。
「ンっ…!」
自分の中に異物が入る感覚と、そして引き抜かれる感覚に、アシュトンが眉を寄せる。
かたかたと震える手は、シーツを握り締めていた。
「アシュトン…。」
クロードの熱を帯びた声が、アシュトンの耳に届く。
その時微かに熱い吐息がかかった場所に、アシュトンは瞳を見開いた。
慌てて振り返るとそこには…。
「クロードっ!?」
アシュトンの蕾に口を寄せるクロードがいた。
「ンぁっ…!」
シーツを握り締める手に力を込める。
アシュトンの瞳が、潤んで揺れた。
クロードは両手でアシュトンの蕾を開くと、そこに舌を押し当てる。
唾液をたっぷりとそこに捻じ込んで、指をさし入れながらその狭い入り口を解しはじめた。
その刺激にアシュトンがカタカタと震える。
くちゅくちゅと卑猥な音が辺りに響き、アシュトンは気持ちがイイんだか、不快なんだかわからないその刺激に、ぎゅっと瞳を閉じた。
「ンっ…はっ…!」
小刻みにアシュトンが呼吸を繰り返す。
その度にアシュトンの蕾が、クロードの指を締め上げて。
その締め付ける力の強さに、クロードはごくりと唾を飲み込んだ。
「アシュ…力、抜いて。」
「んっ…!」
指を1本増やす。
掻き回して解して…クロードが指を掻き回せば、アシュトンが身体を震わせる。
その時、クロードはふっと…気がついた。
「アシュ…?」
「ぁっ…はっ…ン!!」
もしかして…これは感じてくれている?
そう気がついたとたん、クロードの中に満たされる思いが込み上げてくる。
アシュトンが愛しくて、かわいくて…。
アシュトンがぴくぴくと反応するところを見つけだすと、そこを指で執拗に攻めはじめた。
「ひゃあっ…あっ…くろっ…クロードっ!!」
逃げようと擦る腰を掴んで、指を激しく掻き混ぜる。
くちゅくちゅと水音が辺りに響いて、その音は二人の熱を更に煽っていって。
乱れた呼吸を繰り返しながら、クロードはその指を引き抜いた。
「んっ…!」
アシュトンの蕾が、一瞬きつく締る。
そして…アシュトンは押し当てられた熱い熱に、瞳を見開いた。
くるっ…!
思うよりも先に瞳をぎゅっと閉じる。
そしてシーツを握り締める手に、キツクキツク力が込められる。
「ぁっ…!」
ぐぐっと…力強くそこを押し広げて入ってくる熱いモノ。
その痛みと圧迫感に、アシュトンがシーツを握り寄せる。
「くっ…き…つっ…!」
そしてその入り口の狭さに、クロードの頬を汗が伝う。
「ああああっっっ…!!」
アシュトンの身体が強張り、クロードの眉がキツク辛そうに寄せられて。
半分まで入ったトコロで、クロードは腰の動きを一度止めた。
「アシュ…?平気?」
「………。」
自分も限界ではあったけれど、アシュトンに無理をさせてしまうのだけは避けたかった。
やっぱりアシュトンはとても大切で、大好きだから、無理はさせたくなかったし…これから先もこういうコトをしたいから、やっぱり恐がらせたり嫌な思いを残してしまうのは避けたかったし。
汗をクロードの頬を伝う玉のような汗が、ぽたりとアシュトンの背中に落ちる。
激しく深呼吸を繰り返しているのが、アシュトンの肩の揺れでわかった。
クロードがそっとアシュトンの背中に掌を押し当てると、汗ばむ身体に掌がべったりと張り付いた。
そのまま目をアシュトンの顔に向けると、ダークブラウンの柔らかな髪の毛の隙間から、大きく開かれた口が見える。
「アシュ…?」
「…うん…ごめん。へい…き…。」
アシュトンの唇が微笑むのが見える。
瞳は髪の毛が邪魔して見えないけれども、その唇の震えと肩の震えが、アシュトンが無理していることをクロードに伝えた。
「平気…だから、くろー…ど…。」
アシュトンが大きく息を吸い込む。
震える声に、クロードは思わずアシュトンを抱き締めたくなった。
こんな、愛しい人、今まであったコトがあっただろうか?
震える唇で、肩で、声で。
それでも自分を受け入れようとしてくれている、こんな愛しい人。
クロードはゆっくりと…腰を押し進めた。
ときたまアシュトンの唇の端から辛そうな声が漏れ、その度に少し戸惑ったけれど。
「アシュ…ねェ…アシュトン…。」
「くろーぉ…ど…。」
「はぁっ、はぁっ…。」
すっぽりと、やっと全部自分自身をアシュトンの中に押し入れたトコロで、クロードは再び動きを止める。
そのままアシュトンのお腹に腕を回すと、優しく抱き締めた。
「クロード…?はいっ…た?」
「…うん。辛い?」
「…ううん。平気だよ。だから…動い…ても、平気。」
優しい声が耳に届く。
アシュトンは微笑むと、自分から腰をつきだした。
耳まで真っ赤に染まりながら、必死にクロードのために何かしようとしているらしい。
時たま辛そうな声を漏らしながら、アシュトンは何やらもぞもぞと動きはじめる。
「アシュ…。」
やさしくそっと背中にキスを落として。
クロードはゆっくりと自身を引き抜いた。
「ンっ…。」
そして再び突き入れる。
何度かそれを繰り返して入ると、だんだんとそれはスムーズに行えるようになってきて…。
「あっ…クロ…ドっ!!」
アシュトンの頬を伝う玉のような汗が、シーツに落ちて滲んだ。
何かにしがみつこうとアシュトンの手が伸ばされ、枕を握り締めて抱き寄せる。
クロードはアシュトンを後ろから貫いていたから、アシュトンに抱かれることは出来なかった。
クロードだって本当はアシュトンの顔を見て抱きたかったけれど…一番アシュトンの身体に負担のかからない体位はこれだったから…クロードはそのまま腰を打ち突けた。
「くっ…あっ…!」
そのうちにだんだんとクロードの方も余裕がなくなってくる。
アシュトンをちらりと見れば、先程までの歪んだ眉は苦しそうに今も寄せられていたけれど…。
「ぁっ…ン…はっ…!」
乱れる吐息が艶を帯びて。
明らかに痛みの先にある快感を感じはじめていた。
苦痛に寄る顔の歪みではない。
アシュトンは快楽によって眉を寄せ初めていたのだ。
それに気が付いた瞬間、クロードの下半身にどくん!っと波打ち集まる熱。
加速度的に集まる熱は、クロード自身の質感と固さを更に増して。
自分の中でどくんと大きくなったその熱いカタマリに与えられる刺激に、アシュトンが苦しそうに声を漏らした。
もう何も考えられなかった。
アシュトンを恐がらせたくないというクロードの思いは、もうそれどころではなくなっていたし、痛みと不快感で混乱していたアシュトンの頭にも、もうそんな思いよりも今感じている快感の刺激に頭は真っ白になってしまっているだけで。
「あああっ…くろっ…くろぉーどっ…!!」
枕を抱き締める腕に力を込める。
引き千切られそうなくらいにキツク締るアシュトンに、クロードは何度もイキそうになるのを堪えていた。
「あしゅ…っ!!」
ぎりぎりまで引き抜いて、そして強く激しく突き立てる。
ぎしぎしとベッドが軋み、結合部分からは卑猥な音が響いていた。
乱れた二人の呼吸と途切れ途切れの声が、お互いの熱を更に煽っていく。
「ぁあっ…ンっ…!はっ…ァっ…!」
「ンっ…!!」
びくびくっと、大きくアシュトンの背中が反れる。
「あああァァァっ…!!」
その時ぎゅっと強く締め付けるアシュトンの蕾の刺激に、クロードはひときわ大きく激しく自身を突き立て…。
「くっ…ぅ…!」
アシュトンの最奥に、熱い熱を解き放ったのだった――――――――――。
次へ
|