■■■ THE END OF THE WORLD    act 2.LEALTIME LOVER





何度キミにこうやって抱かれたのかな?
もう覚えてないほどに、何回も繰り返されたソレは、
私の心も、身体も縛り付けて。



深く、奥底に、傷を残す。



耳に届く吐息は誰のもの?
私を抱いているこの腕は誰のもの?
知ってる。ちゃんと知ってる。
この腕は私が欲しくて、たまらなかった腕。


身体が、欲しがって仕方がなかったもの。
心は、決して欲しがっていなかったもの。


溺れた時みたいに呼吸が苦しくて。
助けを求めるように手を伸ばせば、君が指を絡めて手を握り締めてくれる。
汗ばむその掌が燃えるように熱くて、べったりと貼りついたその感触がヤケにリアルで。


キミが私を貫いて。貫いて。


苦しくて。
痛くて。
想いが。
今が。



この関係が。



痛くて。
辛くて。
気持ちが良くて。


「くっ・・・・・・。」


漏れる声が耳に届いて、自分の大好きな人じゃないってことがイヤってほどにわかる。
ぽたぽたと、私のお腹に垂れてくる汗が私の頭を麻痺させる。
とっくに麻痺してる。
私の思考回路。
だってどう考えたっておかしいもの。
私たち。


ごめんね。
キミの想いを知ってるよ。


ごめんね。
こんな嫌な役させて。


ごめんね?
こんな私を好きにさせて。


ごめんね・・・・・。
こうやって、あなたに抱かれているのに。
私の中にはこんなにも、あの人への想いでいっぱいで。


こんな時に、あなたの温もりを感じながら、
あなたのキスに、
指先の動きに、
あの人を感じているような気がして。


それがなんでか・・・・・。


嬉しくて。
寂しくて。
悲しくて。
愛しくて。
あの人が。

欲しくて・・・・・・・。

私はずっと、キミに甘えてる。



おかしいね。

あの人とはキスも、セックスもしなかったのに。

こうやって抱かれていると、あの人に抱かれている様な・・・・・そんな錯覚をするの。



キミの指は、切なくなるくらいに私を優しく撫でて、滑り降りていく。
その指の動きが、キミのものだって知ってるクセに、あの無骨な彼の指を思い出したりして。


あの人だったら、絶対にこんな優しくないとおもう。
だから君の優しさは、嫌って言うほど彼じゃないんだって、思わせるよ。


うっすらと瞳を開けると、暗い部屋に慣れた私の瞳が
あなたの金髪だけを映して。
はっきりと顔がわかる前に、本能がそうさせたのか・・・・。
無意識のうちに拒絶するように瞳を閉じた。


「ン・・・・・・。」


太腿に感じるキミからのキス。
擽る舌に僅かにぴくりと脚が反応して。
火照るカラダの熱を持て余していたカラダに、侵入してくる熱くて固いモノ。


私の中で蠢くキミ。
擦られ、貫かれ、意識が遠のいていく。
乱れて揺れる、キミの金髪にあの人を重ねて。
私はそれだけで絶頂へと促されていく。
あの人を思うだけで、どんどん、どんどん、愛液が溢れて。


頭では君は彼じゃないって、わかってるのに。
身体はあの人だって思い込もうとしているみたい。



おかいしね。

私たち。

こうやって、身体は繋がっているのに。

心は繋がっていないなんて。



「オ・・・・ペラさっ・・・・・。」
「んっ・・・・・!!」


私の中でキミがピクリと動いて。
そこからくる熱いものを予想して、私はキミをきつく締め上げた。
びくりと肩を震わせて、キミがどくどくと私の中に自身を解き放つ。
その暖かな脈動に私の身体が震えた。


二人荒い息を繰り返して、キミが私の胸の上に倒れ込んでくる。
それを優しく受け止めて、キミの髪に指を絡めた。
愛しいあの人と、同じ金色の髪。
でもキミのは柔らかくて、さらさらで。
やっぱりあの人とは違うのに、それでもあの人のような気がして、とても愛しくて。



おかしいね?

いつから狂っちゃったのかな?



身体だけの繋がりって、本当に寂しいね。
キミに貫かれるたびに、私の中の何かがひとつずつ壊れていく。
それに気が付いても、身体は寂しくて止まらなくて。
やっぱり私はあの人に長い間会えなかったから、壊れてしまったのかもしれない。


寂しいのは身体だけじゃなくて・・・・・・・。









きっと・・・・・心も。






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