■■■ 2度目の恋 act4 出来もしないたくさんの嘘







忘れられる・・・・筈などなかったのだ。
マーズで再会した時から、この想いは大きく深くなるばかりで。
一度会ってしまったからこそ、もう耐えられる筈は無かったのだ。
自分の中にある、自分でも信じられないほどの激しい感情に苦笑する。










前線基地。
エル大陸から来る魔物を防いでいる、ラクールの基地。
唯一魔物を撃退している場所だった。
ここの話を聞いた時から・・・・自然と足が向かっていた。


予感がしたのかもしれない。
ここなら・・・・・・・会えるかもしれないと。
何度も突き放した少女が旅をする目的が、エル大陸に落ちたソーサリーグローブの調査だと知っていたから。
ここなら、もう一度会えるかもしれないと。


出来もしないさよならを、何度くりかえしたのだろうか?
出来もしない彼女を手放すコトを、何度しようとしたのだろうか?


何度・・・・・彼女に会いたいと、この腕で抱き寄せたいと思ったのだろうか。


コレはラストチャンスだ。

なんて滑稽な自分の姿。信じられないほどの行動。
それでも。それでも・・・・・・。
彼女の傍にいたいと思うことは。
自分の中で日に日に大きく、確かな願いとなって。
自分をそこへと駆り立てる。










総司令官の部屋でただじっと立っていた。
いや、待っていたのかもしれない。
ただ、一人の少女を。


気配を感じた。
懐かしい、そしてとても愛しい気配。
彼女が足を踏み入れた時も、何事も無かったかの様に振る舞う自分。
ここまできて、何故素直に一緒にいたいといえないのか。


もう彼女なしでは生きていけないとわかっているのに。
こんなにも・・・・・・彼女と会えたコトに、身体が喜びで震えているというのに。


「待って!ディアス・・・・・!」
懐かしい声。
数ヶ月前は無視をしたセリフ。
振り返ると、切なそうに眉根を寄せる少女がいた。
「一緒に・・・・・・来て。」
待っていた言葉。
それなのに、自分はなんて素直ではないのだろうか?
今更クロードの名前をだし、そしてレナに求める。


自分を必要だと。自分を救ってくれる言葉を。


「俺は一人の方がいいと思ったら、いつでも抜けるからな。」
孤独に過ごした3年の間に、すっかり素直ではなくなってしまった自分の言葉に。
目の前の少女は・・・・・・この世の幸せをすべて一人締めしたみたいな笑顔になって。
 


今までに見たこともない笑顔で笑った。



その笑顔に心臓が大きく跳ねた。
魅了されて・・・・・目が離せない。


ここにきてやっと・・・・・俺は幸せを手に入れた。








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