■■■ 2度目の恋 act5 不安?予感? 「今まで自分達が相手をしてきたモンスターが雑魚もいいところだったら・・・・・。」 ディアスの言葉に、どきりとした。 確かに自分達は魔物達のやってくるエル大陸に向かおうとしているわけで・・・・・・・。 今まで以上に危険なことになるかもしれない。 エル大陸に向かう船を見上げると、こくりと唾を飲み込んだ。 「レナ・・・・・?」 隣に立つ金髪の青年になんとか笑顔を見せると、船の先端で海の向こうを眺めている、 いや、睨みつけているディアスをじっと見詰めた。 「ディアスが・・・・言ったこと、気になるの?」 「・・・・・えぇ・・・・・。」 冷たい風が頬を撫でる。 ぶるりと身体を震わせて、レナはぎゅっと胸元のペンダントを握り締めた。 さっきまでは青空が広がっていたというのに、エル大陸に近付くにつれてどんどん黒い雲が現れはじめている。 嫌な予感がした。 ディアスもいる。 クロードもいる。 そして頼もしい仲間達がいる。 なのに心は落ち着かなくて。 不安?恐怖?心を支配するこの感情は。 わからない。 わからないけれど、心が、不安定で。 手首に巻いた深いブルーのリボンが風に靡いていた。 「んっ・・・・。」 腕を上げようとすると、まるで石になってしまったみたいに重かった。 身体中がベトベトして、冷たくて、痛い。 ズキズキと痛む頭を抑えて、レナは瞼をなんとか開いた。 「ここ・・・・は?」 ゆっくりと起き上がると、濡れた髪の毛やら、湿った砂が顔に貼り付いて不快で。 「気が付いたか。」 掛けられた声にほっと安心して、顔を上げる。 そこには自分の一番好きな人の顔があった。 それに安心して唇の端を緩める。 こんな時にディアスが傍にいてくれるのはとても安心する。 「どうやら・・・・ここに流されたらしい。」 差し出された手を取ると、ゆっくりと立ち上がる。 その手の冷たさに、背中をぞくりとしたものが走って、すべてを思い出した。 船から海に投げ出されて、薄れていく感覚。 重くて動かない身体。 流され、呑み込まれていく意識。 きょろきょろと周りを見て、みんなの顔を確認する。 ほっとしながら一人ずつちゃんと安否を確かめて・・・・・・・・。 心臓が凍った。 「クロードは?」 震える口から、カチカチと歯が鳴る音が漏れる。 足元がぐるぐるして、目の前をチカチカと光る何かがまわって・・・・・・・・・。 私は・・・・・・・意識を手放した。
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